ナレク・アフナジャリャンのチェロ 素晴らしい演奏
10月14日、武蔵野市民文化会館小ホールでナレク・アフナジャリャンのチェロ・リサイタルを聴いた。ピアノはオクサーナ・シェフチェンコ。連日の武蔵野市民文化会館小ホール。
曲目は前半にシューマンの幻想小曲集作品73とベートーヴェンのチェロ・ソナタ第5番、後半にチャイコフスキーの「6つの小品」より夜想曲とカプリッチョ風小品ロ短調。そのあと、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ。
アフナジャリャンはまだ20代前半の若者。ピアノのシェフチェンコも20代の可愛らしい女性。しかし、演奏する音楽は本格的。見事な演奏だった。
アフナジャリャンは凄まじいテクニックでバリバリ演奏するが、根っこではとてもロマンティックな人と見た。シューマンやチャイコフスキーの曲をとてもロマンティックに鳴らす。形が崩れかけるところが、シューマンやチャイコフスキーらしい。だが、感傷に堕することなく抑制されている。とても好感を持った。
ショスタコーヴィチは凄まじい迫力。若い力を出し切る。ピアノも見かけによらず、強くてしっかりした音。ただ、私の受けた印象では、アフナジャリャンのほうが、ピアノのシェフチェンコよりもずっとロマンティックな感性を持っていそう。ショスタコーヴィチのヒステリックなまでの切迫感にもロマンティックな要素が混じる気がする。とても魅力的。
アンコールはパガニーニの「ロッシーニの『エジプトのモーゼ』の主題による変奏曲」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、最後にエルガーの「愛のあいさつ」。パガニーニが圧巻。とてつもない技巧。元気があり、華やか。昨日、ツェートマイヤーの凄まじいパガニーニのカプリースを聴いたばかりだが、凄まじい技巧を持っていることは共通するが、まったく音楽性が異なる。アフナジャリャンは若々しく、技巧が表に出る感じ。私の好みとしてはツェートマイヤーだが、もちろんアフナジャリャンもまたいい。
このところ、ずっと「ハズレ」がない。素晴らしい演奏に出会い続けている。実に充実した毎日。ただ、仕事がたまっているので、ブログに書くのはこのくらいにしておく。
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