モザイク弦楽四重奏団 音楽に乗れなかった
10月26日日曜日、昼間は大学で入試やオープンキャンパスの仕事をし、夜、京都に移動。27日月曜日には平安女学院中学で小論文の特別授業。家に帰りついたのは、夜中の12時半。そして、本日(23日)も午前中から授業。そして、夜は武蔵野市民文化会館でモザイク弦楽四重奏団のコンサート。
先週、親しい人が亡くなったため、気の張りをなくすと落ち込みがちになる。武蔵野市民ホールに向かう間も、疲れのせいもあって気が晴れなかった。
そのせいかもしれない。とても良い演奏だと思ったが、あまり感動しなかった。モザイク弦楽四重奏団は、録音で何枚か聴いて素晴らしいと思っていたので、もっと感動するつもりだったが、それほどでもなかった。
前半にモーツァルトの「狩り」とシューベルトの弦楽四重奏曲第10番、後半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番。モザイク弦楽四重奏団はピリオド楽器で演奏する。ただ、かなり穏やかな演奏。録音で聴いたときはもっとメリハリがあって、もっと弦のからみに爽快感があったような気がするが。
シューベルトの第10番は若書きの曲らしいが、とても魅力的な曲。初めて聴く曲だと思う。ただ、これも演奏の面からはそれほどの感動は覚えなかった。
後半のベートーヴェンの第2番はとてもおもしろかった。意図的にスケールを小さく作って、小気味の良い音の世界を作ろうとしているようだ。くっきりと音が立ち上がる感じがとてもいい。リズム感もよく、若きベートーヴェンの力が伝わってくる。
ただし、これも残念ながら、爆発的な感動にまでは至らなかった。アンコールはモーツァルトの弦楽四重奏曲第15番。きっと、私の気分のせいで音楽に乗れなかったのだと思う。
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コメント
秋も深まり日の短いこの頃、何かと疲れます。
樋口先生は、気分も沈みがちになられる原因があったとのこと。
喪失感に苛まれていたとき、私もブラームスが絵空事のように、感じられたことを思い出しました。
24日に、フィリアホールで聞いた「狩」は絶品だったと感じています。第2VnとVaの音が、古楽器特有で美しく、購入してきたCDとは違う楽器のようでした。CDは確かにメリハリがつよく格パートが拮抗し流麗でした。(でもよくある演奏で)
第1VnとVcをより明快に引き立て、よく練ったバランスのいい構成と思われました。古楽器の生演奏を聴けてよかったです。
シューベルトも、未来を感じさせつつロマンテックな格調の高い作品になってました。続くベートーベンと、プログラムはこの方たちの個性をよく表す内容で、アーノンクールを思い出しました。
そして後日、エリシュカ氏のドヴォルザークは暖かいいい演奏会でした。先生がおっしゃるようにスケール感がありました。河村さんはルイジ氏との皇帝も感激しましたが、あの21番モーツアルトは、今まで聞いた中で最高でした。さすがクララハスキルコンクールの最高賞を頂いた方と、納得。
ながながと失礼いたしました。お元気でおられますよう。
投稿: 栗原 久美 | 2014年11月 3日 (月) 22時54分
栗原久美 様
コメント、ありがとうございます。
モザイク・カルテットの演奏、実はもう一度聞き直したい気持ちです。会場に向かうときから沈み込んだままでした。沈んだ私を回復する力は、あの時のモザイクカルテットにはなかったのですが、今聞き直すと、まったく違うように聞こえるかもしれません。音楽というのは、作曲家と演奏家と聞き手の対話のようなものですので、聴き手の状況によって良くも悪くもなってしまいます。そのことを痛感する出来事ではありました。
投稿: 樋口裕一 | 2014年11月 5日 (水) 07時30分