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松本美和子による日本歌曲の夕べ 変わらぬドラマティックな声

 1114日、Hakujuホールで松本美和子による日本歌曲の夕べを聴いた。ピアノは椎野伸一、筝は吉原佐知子。

松本さんの演奏はかつてずいぶん聴いたものだ。今でも覚えているのは、ヴィオレッタやジュリエッタ(「ホフマン物語」)の歌声。その美しくてドラマティックな声と可憐な容姿に魅了された記憶がある。その松本さんも73歳だとのこと。

  曲目は、歌と箏とピアノによるメドレーに始まり、新美徳英の「花に寄せて」、大恩中「しぐれに寄する抒情」、小林秀雄「落葉松」、そして、後半に、畑中良輔「八木重吉による5つの歌」、三善晃「四つの秋の歌」、別宮貞雄「淡彩抄」より。

 確かに、とこどき声がかすれるし、音程が怪しくなる。しかし、73歳というお年を考えるとまさに驚異。ドラマティックな箇所になると全盛期を思い出させるような強くハリのある声が場内に響く。いや、日本歌曲においては、ビシッと音程が合って朗々と歌うよりは、むしろ水入らずの中でしっとり歌う雰囲気のほうがよい。松本さんは、しっとりとした雰囲気とドラマティックな曲想をうまく使い分けて歌っていく。

「落葉松」という歌は初めて聴いたが、しっとりとしながらも徐々にドラマティックに盛り上がっていくとても良い曲だと思った。大恩中の「しぐれに寄する抒情」はまさに抒情の歌。何気ない表情の中に深い抒情が聞こえた。畑中良輔の歌もとても親密な空間を作り出して美しい。そして、プログラムの最後の別宮の作品は、松本さんにぴったりの歌だと思った。静かな中にドラマティックに盛り上がる。素晴らしかった。アンコールは山田耕筰「砂山」と中田喜直「おやすみなさい」。これもとてもよかった。

 ただ、私には筝の伴奏については、よく理解できなかった。もちろん、お二人の演奏そのものはとても良い。とりわけピアノの椎野さんは見事だと思った。が、ピアノとギターというよく似た音の二つの楽器で伴奏が行われ、真ん中でソプラノが歌われるのには、かなり違和感を覚えた。また、ピアノと筝の二重奏曲も、私には納得できなかった。ちょっと大げさに言うと、ギターとマンドリンの二重奏曲という感じ。楽器同士が音を補い合っていないように、私の耳には聞こえる。

 ともあれ、松本さんの声を久しぶりに聴けて満足。

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