ヴォーチェ弦楽四重奏団 美しい音
2014年11月24日、武蔵野市民文化会館小ホールで、ヴォーチェ弦楽四重奏団のコンサートを聴いた。曲目は前半に、モーツァルトの「不協和音」とヤナーチェクの「内緒の手紙」、後半にベートーヴェンの「ラズモフスキー2番」。いずれもニックネームのついた弦楽四重奏曲。とてもよかった。
ヴォーチェ弦楽四重奏団は2004年に結成されたフランス人を中心にした若い弦楽四重奏団で、ヴィオラを除いてほかは女性。第一ヴァイオリンのアラ・ダイヤンがリーダー。ほかの女性2人はもしかしたら20代ではないかと思った。
体調が悪かった(胃の調子が悪くて、夜中、あまり眠れなかった)ためもあって、「不協和音」の前半は眠気を感じていた。が、第三楽章あたりから、その素晴らしい演奏のために目がさえてきた。一人一人の楽器の音が美しく、アンサンブルがみごと。それぞれの楽器の音質がとても良く似ているのを感じる。女性三人なので、繊細で音楽の作りが丁寧。しかし、十分に力感があり、鋭く切り込むべきところは切り込む。ひところ流行した「上手すぎる」弦楽四重奏団ではない。テクニックを表に出すのではなく、あくまでも音楽性を大事にしているのが良くわかる。派手さはないが、的確に音楽を作ってくれる。
ヤナーチェクも、甘美さと生命の疼き、いら立ちのようなものを美しく演奏。ただ、私としては、ちょっと美しすぎるように感じた。ヤナーチェクはもっとガサツなところがあってよいのではないか。ちょっと都会的過ぎる。が、逆に言えば、とても都会的な魅力の音楽をこの団体は作るといえそうだ。
「ラズモフスキー2番」(すなわちベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番)も、鋭く切り込みながらも、全体的には極めてバランスのとれた美しい演奏。スケール感はないが、リズムが良く、音が磨き抜かれ、論理的に知的に音楽を作っていく。切れがよく、ともかく美しい。
アンコールはトゥリーナ作曲の「闘牛士の祈り」。スペインらしい曲。なかなかおもしろかった。
きっとこれからどんどんと活躍していく団体だろうと思った。これからが楽しみだ。
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