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METライブビューイング「フィガロの結婚」に興奮

 東銀座の東劇でMETライブビューイング「フィガロの結婚」をみた。映像であるにもかかわらず、あまりのすごさに興奮。

 指揮はジェイムズ・レヴァイン。序曲からして、スケール大きくドラマティックに演奏。第一幕の間は、歌とオケが少しずれるのを感じるところがないでもなかったが、その後はまったくそのようなことは気にならなくなった。うねりがあり、ドラマがあり、歌がある。第二幕と第四幕の幕切れの重唱は、あまりにわくわくして、私はほとんど躁状態になった。

 歌手たちは全員が当代最高の人たち。フィガロのイルダール・アブドラザコフと伯爵のペーター・マッテイは演技も歌唱も圧倒的。細かい演技、細かい歌唱にいたるまで完璧。スザンナのマルリース・ペーターセンはヴィブラートの少ない美しい声。この人の演技も素晴らしい。ケルビーノのイザベル・レナードもまさしくケルビーノ。

 そして、伯爵夫人のアマンダ・マジェスキー。初めて知った歌手だが、私はこの人にほとんどほれ込んだ。容姿的にも美しいが、それ以上に声の力に圧倒された。リリックな細い声だが、気品があり、人をひきつける力を持っている。第二幕と第三幕のアリアには心がしびれた。

 そのほかのすべての登場人物が最高の歌と演技を行う。全員がまさに役そのもの。バジーリオもマルツェリーネも歌手たちを見て納得。「そうか、こんな人物だったんだ!」と思った。

 演出はリチャード・エア。時代を1930年代に移しているが、まったく違和感はない。細かいところまで実に計算しつくされ、笑いを呼び、しかも品格が落ちない。アメリカの劇場の演出の力はすさまじいと改めて思う。これまで何度も見てストーリーもよく知っているのに、またも大笑いした。ヨーロッパのような頭でっかちの「解釈」ではなく、まさしく最高の娯楽として楽しませてくれる。そうであるがゆえに最高の芸術になっている。

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