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コミタス弦楽四重奏団 独特の音色に惹かれた

 12月4日、武蔵野市民文化会館小ホールでアルメニアのコミタス弦楽四重奏団のコンサートを聴いた。アルメニア音楽の父とされる作曲家コミタスの名を冠する歴史ある団体で、メンバーを変えながら現在にいたっているとのこと。第一ヴァイオリンとヴィオラが高齢の男性で、第二ヴァイオリンとチェロがかなり若い女性。素晴らしかった。

  曲目は、前半にヘンデル作曲、アスラマジアン編曲のパッサカリア ト短調、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第3番。チャイコフスキーらしい哀愁の表現が素晴らしい。後半は、アルメニアで暮らした作曲家ミルゾヤンの弦楽四重奏曲「主題と変奏」と、コミタス作曲の弦楽四重奏のための14の小曲から。コミタスの曲は舞曲風の民族色の濃い音楽。

  最初の音から独特の音色に驚いた。第一ヴァイオリンのダデヴォシャンの音色といえるのだろう。弱音器をつけていなくても弱音器をつけたような音。繊細で研ぎ澄まされていて、実にしなやか。ちょっとエリシュカの指揮する音色に似ていると思った。 だが、エリシュカの音よりも、もっと悲しみが秘められている。虐げられてきた民族の持つ音色という感じがするのは先入観によるものではあるまい。舞曲風の音楽であっても、あっけらかんとした音は少しもない。苦悩と屈辱に耐え、辛酸をなめ、ぶつけようのない怒りと悲しみをぐっと抑えたうえで、歌い踊っているように感じる。まさに人生を感じる。これがアルメニアの民族が持つ音楽性なのかもしれない。

 アンコールもコミタスの小曲。そして最後に、アルメニアを代表する作曲家であるハチャトゥリアンの「剣の舞」。これも素晴らしかった。躍動感にあふれ、民族色にあふれている。生命そのものの力を感じる。

 とても満足。音楽は本当に素晴らしい。

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コメント

若いドレス姿の美女2人に白髪の男性陣2人。

「アルメニア」という音楽ではあまり馴染みのない国から来た
グループ…しかし素晴らしい演奏でしたね。

カルテットを操る1stヴァイオリンは非常に巧みなボーイングで
かなりの熟練、技巧の持ち主と感じました。
先生も言われているように独特な音色で、どこかジプシーの音を
彷彿させるような…。
湿り気は無くからりとした、繊細で美しい土色の響きでしたね。

最期の「剣の舞」は本当に圧巻でした。
たった四人の奏者が作り出しているとは思えないような、多彩で
生命力に満ちた圧倒的な音。
ハチャトゥリアンのバレエの登場人物たちが目の前にあらわれて踊っ
ている…そんな異空間の中にあっという間に連れていかれたような
不思議な興奮を感じました。

終演後多くの拍手に答え揉み手で「にかっ」と笑う1stヴァイオリが
まるで「熟練興行師」のような佇まいで楽しかった。

「音楽は本当に素晴らしい。」
まったく同意します。
音楽はやはり「人」の作り出すもの。今夜この人たちに出会えた幸福
に感謝です。

投稿: すわん | 2014年12月 5日 (金) 05時53分

すわん 様
コメント、ありがとうございます。
確かに、湿り気がなくからりとした演奏でした。私の文章を読むと、ウェットな雰囲気だったと誤解される方がおられるかもしれませんね。悲しみにあふれ、人生の悲哀を感じさせるのですが、自分にこもって泣きくずれるというのではなく、激しい悲しみのなかでもしぶとく生きる雰囲気がありました。なるほど、ジプシー的ですね。
それにしても、アルメニアという未知の国の音楽に感動することができました。

投稿: 樋口裕一 | 2014年12月 6日 (土) 00時25分

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