ヤノフスキ+ベルリン放送のブルックナー8番 まだ興奮が続いている!
2015年3月18日、サントリーホールで、ヤノフスキ指揮、ベルリン放送交響楽団のコンサートを聴いた。曲目はブルックナーの交響曲第8番。それはそれは凄まじい演奏。まだ興奮が醒めない。
クリアで明確な音。一つ一つの楽器の音色がはっきりと聴きとれる。力感にあふれ、音が生きている。すべての音が明瞭に重なり合い、最高の音の世界を形作る。盛り上がるところは盛り上がる。明るめの音だが、まぎれもなくブルックナーの世界。特別なことは何もしていないように聞こえる。小細工はまったくない。無理やり精神的な深みを付与している様子もない。宗教的にしているわけでもない。ただ、完璧にオーケストラが鳴り、自然なメリハリがあり、壮大な音の世界が構築される。しばしば音が爆発する。しかも、爆発しても音はクリアなまま。本当に素晴らしい。明確に音の世界が構築されていく。宗教的な雰囲気はあまりないが、間違いなくある種の法悦を覚える。
第一楽章の弦のトレモロから私はぐいぐいと音の世界に引きこまれた。何度、全身が震えるような感動を覚えたことか! 第3楽章のシンバルが鳴る部分の高揚に涙が出てきた。
昨年だったか、N響を指揮するヤノフスキのブルックナーの交響曲第5番を聴いた。実はあまり感動しなかった。脈絡のなさを感じたのだった。だが、ベルリン放送交響楽団の演奏は一味もふた味も違う。もっと力にあふれている。楽団員の弾き方を見ても、N響とはかなり異なる。もっと強く激しく演奏している。そうなると、音楽に力感が生まれ、脈絡ができてくる。
スイス・ロマンド管弦楽団を演奏したCDも素晴らしいが、ベルリン放送交響楽団も素晴らしい。管楽器の音の美しさにほれぼれした。ホルンもいいし、オーボエもクラリネットもいい。
久しぶりにブルックナーを聴いて心の底から揺り動かされるような感動を覚えた。2000年のヴァントの最後の東京公演以来の感動だった。
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コメント
投稿: yotin | 2015年3月20日 (金) 15時21分
西宮での演奏はいかがでしたか。素晴らしかったのではないかと思います・・・・。
投稿: 樋口裕一 | 2015年3月26日 (木) 07時16分
コメントが 遅くなり すみませんでした。 最高!でした。西宮の芸術文化センターは 音響の悪さが評判?なのですが、全く不満のない マッシブなパワー感に浸れました。貴兄の ご感想通りだったです。ベルリンと言えば、 フィルハーモニーやシュターツカペレばかりが話題になりますが、彼らとは まったく趣の違う、圧倒的なスケール感に驚かされてしまいました。ヤノフスキさんの指揮にも感動しました、知情意のどれにも過不足感じさせない集中力が素晴らしかったです。人生最高のブル8でした。これからも、ブログ 参考にさせていただきます。よろしくお願いいたします。
投稿: yotin | 2015年4月19日 (日) 17時26分
yotin様
コメント、ありがとうございます。
私と同じような感想を持っていただけると、とてもうれしい気持ちになります。ほんとうに素晴らしい演奏でした。
次の来日を待ち遠しく思います。
投稿: 樋口裕一 | 2015年4月20日 (月) 08時07分