METライブビューイング「湖上の美人」 言葉をなくす凄まじさ
東銀座の東劇でMETライブビューイング「湖上の美人」をみた。素晴らしいという言葉では足りない。圧倒された。第二幕では、あまりにワクワクして幸せで胸がはちきれそうになった。ロッシーニの楽しさを堪能した。このオペラがこれまであまり上演されなかったのが不思議だ。大傑作だと思う。
今では、ロッシーニはワーグナーやシュトラウスとともに私の最も好きなオペラ作曲家。しかも、ジョイス・ディドナートは大好きな歌手(実演を聴いたことはないが、CD、DVDはかなり聴いている)。そんなわけでワクワクしながら出かけたが、それにしても、期待以上の凄さだった。
やはりディドナートが凄い。美しい声で最高度の技巧を聞かせてくれる。特に最後のアリアにしびれた。涙が出そうになった。電車に乗って家に帰り、今にいたるまで、最後のアリアのメロディが頭から離れない。今もうきうきしている。フアン・ディエゴ・フローレスにもしびれた。私はずっとこの歌手の声質が好きでなかったが、これほどの歌を聴くと好きでないとか言っていられなくなる。輝かしくも強い声。第二幕の最初のアリアは本当に絶品。マルコム役のダニエラ・バルチェッローナもズボン役特有の太い声で場を圧倒する。ロドリーゴのジョン・オズボーンもフローレスに負けない正確で強靭な美声。この四人の声の威力は圧倒的。こんな歌手がいること自体が驚異としか思えない。声を生で聴いたらどんなに凄いだろう。第二幕の三重唱でも、私はあまりのワクワク感に叫びだしたくなった。
指揮のミケーレ・マリオッティも素晴らしい。テンポが良く、ワクワクする。DVDなどで何度か聴いたが、この人のロッシーニは最高! 演出はポール・カラン。わかりやすく楽しい舞台だった。文句なし。
これほどのスター歌手を集めることはメトロポリタンにしかできないだろう。実に幸せだった。ロッシーニの音楽は本当に楽しい。
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