« 新国立劇場「運命の力」のこと | トップページ | METライブビューイング「湖上の美人」 言葉をなくす凄まじさ »

メッツマッハー+新日本フィルのヤナーチェクとバルトーク

 2015412日、サントリーホールでインゴ・メッツマッハー指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴いた。曲目は前半にシェーンベルクの5つの管弦楽曲作品16とヤナーチェクのシンフォニエッタ、後半にバルトークの管弦楽のための協奏曲。

 メッツマッハーの任期もあと少し。メッツマッハーを聴けるのならと思って出かけた。やはり素晴らしい演奏だった。

 メッツマッハーは私の好きな指揮者の一人だ。新日フィルとのベートーヴェンやシューベルトの交響曲の演奏もよかったが、ザルツブルク音楽祭でみたツィンマーマンのオペラ「軍人たち」は言葉をなくすようなすさまじい演奏だった。

今日も実にメッツマッハーらしい知的で切れの良い音。快刀乱麻という感じで音の重なりを明確に整理して聴かせてくれる。が、少しも機械的ではなく、そこに音の快楽があり人生の深みがある。きわめて分析的だが、それ以上に豊かな情感を感じる。すごい指揮者だと思う。新日フィルも実に素晴らしい。クリアでみずみずしい音を出している。まったく音が乱れない。

 シンフォニエッタの第五楽章は特に魂が震えた。ただ、ヤナーチェクにしては少し洗練されすぎていると思った。私の好きなヤナーチェク(しばらく会費を払っていないので、きっと退会になっていると思うが、私は「日本ヤナーチェク友の会」の会員だった。ヤナーチェクは大好きな作曲家だ)はもっと田舎くさく、もっと鬱積している。クリアで現代的でスマートなヤナーチェクだった。とはいえ、やはり魂にぐさりと刺さってくるし、特有のドラマがある。私の好みのヤナーチェクではなかったが、これはこれで素晴らしい。

バルトークの管弦楽のための協奏曲も素晴らしい演奏。実は私はこの曲をあまり好まない。遊びなのか真剣なのかよくわからず、とらえどころがないと感じていた。が、今日の演奏を聴くと、ともあれ納得。遊びの要素が強いのだが、ちょっと自虐的で、しかも明るさがあり、ところどころに情熱の爆発のようなものがある。バルトークの複雑な心境を音楽で諧謔的に描いているといったところか。終曲では、ちょっと涙が出そうになった。

メッツマッハーをしばらく日本で聴くことができなくなるのは、実に寂しい。

|

« 新国立劇場「運命の力」のこと | トップページ | METライブビューイング「湖上の美人」 言葉をなくす凄まじさ »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/532807/61430145

この記事へのトラックバック一覧です: メッツマッハー+新日本フィルのヤナーチェクとバルトーク:

« 新国立劇場「運命の力」のこと | トップページ | METライブビューイング「湖上の美人」 言葉をなくす凄まじさ »