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2015年ラ・フォル・ジュルネ3日目(5月4日)

 

 

本日をもって、2015年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンは終わった。最終目は6つのコンサートを聴いた。今年は合計19。私のラ・フォル・ジュルネのコンサートの累計は有料のものだけで432になる。たぶん日本一だと思う。本日のコンサートの感想を短くまとめる。

 

・オリヴィエ・シャルリエのヴァイオリンと指揮による兵庫芸術文化センター管弦楽団

 

バッハのヴァイオリン協奏曲 1番、第2番、2台のヴァイオリンのための協奏曲

 

 味わい豊かな演奏。ただ、どうしても、シャルリエが演奏すると、ロマンティックでフランス的な味がついてしまって、私の考えるバッハの味わいとは異なってしまう。二重協奏曲は、モニーク・ラパンという若い女性ヴァイオリストが加わったが、そうなるとシャルリエの味わいが薄まって、私の考えるバッハに近づいた。最終的には、大いに感動。

 

・トリオ・カレニーヌ 

 

 ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 5番「幽霊」 シューベルト「ノットゥルノ」 

 フランスの若いトリオ。素晴らしい演奏。明晰で切れが良く、一つ一つの音が美しく生き生きとしている。一人一人の技量が見事。ピアノがとりわけ素晴らしい。「幽霊」の第2楽章も論理的に組み立てて、実に説得力がある。曖昧なところがない。すごいトリオが現れたものだと思った。

 

 

・セルゲ・ツィンマーマン(ヴァイオリン)、アンドラーシュ・ケラーのヴァイオリンと指揮によるコンチェルト・ブダペスト

 

 バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲ハ短調 BWV1060、ヴァイオリン協奏曲第1番、2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043

 

 ケラーがヴァイオリンと指揮を受け持った。2台のヴァイオリンの場合にはツィンマーマンが加わる形。まったく破綻がなく、自然に流れていく。ヴァイオリンもしかり、オーケストラもしかり。だが、そうなるとかなり当たり前の演奏という感じになってしまって、あまり強い感銘は受けなかった。とても良い演奏だとは思うが。

 

・鈴木優人(チェンバロ)、鈴木雅明のチェンバロと指揮によるバッハ・コレギウム・ジャパン

 

バッハの2台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 BWV106、2台のチェンバロのための協奏曲第3 ハ短調 BWV106 

 

 さすがと言おうか。音が緻密で、チェンバロとバックがぴたりとあっている。親子のチェンバロの息もぴったり。ただ、私の席からはチェンバロの音が小さくて、耳をそばだてなくては聞こえなかった。チェンバロを聴くにはCホールは少し大きすぎたようだ。それにしても同じ分野で頂点を極める親子が羨ましい。 

 

 

・マリア・ケオハネ(ソプラノ)、アンナ・ツァンダー(メゾ・ソプラノ)、カルロス・メナ(アルト)、ハンス・イェルク・マンメル(テノール)、マティアス・フィーヴェク(バス)、フィリップ・ピエルロの指揮によるリチェルカール・コンソート

 

バッハのカンタータ「汝何を悲しまんとするや」、マニフィカト ニ長調 BWV43

 

 今年のラ・フォル・ジュルネで最高のコンサート! しっとりとして信仰にあふれている。声楽陣も最高の顔ぶれ。よそ行きではなく、親密な中で深い信仰を確かめあうかのような音楽。「マニフィカート」もなんという美しさ、そしてなんという落ち着いた親密さ。大上段に振りかざすのでなく、心の奥底で深く沈潜する。深く感動した。ピエルロの指揮もいいし、それに答えるリチェルカール・コンソート(フルートはマルク・アンタイだと思う!)もすごい。世界最高のバロックオーケストラだと思う。 

 

・中村まゆ美(ソプラノ)、大島義彰(ピアノ)

 

プーランク オペラ「人間の声」

 

 中村まゆ美は熱演だし、きっとフランス語を得意にしているのだと思うが、それでも、日本人がフランス語で歌うのは難しいということを今回もまた痛感。とりわけ、プーランクのこのモノ・オペラは言葉の響きが命なので、フランス語を母語としている人以外には難しいのではないかと思う。

 

 

 なお、午後、東京駅前の地下広場で丸の内エリアのラ・フォル・ジュルネ関連コンサートを聴いた。久保山菜摘(ピアノ)、犬嶋仁美(ヴァイオリン)、松本亜優(チェロ)によるピアソラの曲集。子の三人にはこれまで多摩大学樋口ゼミに協力していただいた。その実力のほどは私はよく知っている。見事な演奏で行きかう人をひきつけていた。ピアソラ独特のリズムは実に心地よかった。

 

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コメント

最終日は、鈴木父子とBCJのコンサートだけが樋口先生と同じコンサートを聴いた事になります。その前のBCJによるバッハのカンタータ、その後の優人さんとオーヴェルニュ室内管コンサートへの客演等、BCJに関する一日でした。鈴木優人さんが指揮した別のコンサートを「良かった(^^)/!」とTwitterに書いたらご本人の目に留まり、以後やり取りする事が出てきましたので、応援の気持ちもありますね。お父上はすでに世界的なバッハ指揮者・演奏家ですが、優人さんも将来が有望と思います。
尚、ケフェレックのリサイタル、ホールAファイナルコンサートでのトレヴィーゾの指揮、グリーグのピアノコンチェルトを弾いたアヴデーエワも素晴らしかったと思いました。
このコンサートが終わり地上広場に出ると屋台を出していた店が後片付けをしており、今年もあっと言う間だった、と満足感と寂寞感が一緒に胸を去来しました。

投稿: 崎田幸一 | 2015年5月 8日 (金) 21時53分

崎田幸一 様
コメント、ありがとうございます。
アヴデーエワは大評判だったようですね。鈴木優人さんは、一度だけ聴きましたが、素晴らしいと思いました。今回の「マタイ」も聴きたかったのですが、それだけで精根尽き果てそうでしたので、別の機会に譲ることにしました。

投稿: 樋口裕一 | 2015年5月10日 (日) 16時47分

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