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METライブビューイング「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」

 

 

 METライブビューイング「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」を見た。素晴らしい。2014~15年のシーズンの最後の演目。このところのMETの充実には目を見張るが、今回もまた圧倒的な高いレベルでの上演。 2本とも、指揮はファビオ・ルイージ、演出はデイヴィッド・マクヴィカー。

 

 ルイージは前日に「メリー・ウィドウ」を指揮したばかりだという。そして、当日はこの2本。いずれもシャープで繊細でドラマティック。美しい旋律を響かせるが、時として鋭い音が運命的になり響かせる。「道化師」の間奏曲のドラマティックな音の紡ぎ方には圧倒された。オーケストラも素晴らしい。

 

「カヴァレリア・ルスティカーナ」については、やはりトゥリッドゥのマルセロ・アルヴァレスの張りのある声、人物造形が圧倒的。愛の板挟みになった弱い男がにじみ出る。サントゥッツァのエヴァ=マリア・ヴェストブルックも素晴らしい。この役にしては少々容姿的に美しすぎる(オペラを見て、歌っている歌手が美しすぎるという感想を持つことはめったにない!)が、善良で敬虔な女性が嫉妬に狂う様を激しくもしっとりと歌いあげる。アルフィオのジョージ・ギャグニッザも存在感にあふれる太い声。

 

 マクヴィカーの演出は、舞台も登場人物も黒に統一され、ゴヤの一連の「暗い絵」を思わせる。宗教的な救いは強調されず、むしろ因習的で束縛的な社会の中で純粋に愛を貫こうとするサントゥッツァの悲劇を描こうとしているようだ。説得力がある。

 

「道化師」はもっとすごかった。マルセロ・アルヴァレスのカニオは、自在な歌、独特の芝居で客をひきつける。トゥリッドゥ役とは違った迫力。ネッダのパトリシア・ラセットもアクの強い、しかも純愛に生きる女性を見事に歌っている。しかも芸達者で蠱惑的な要素もある。ジョージ・ギャグニッザのトニオはまさしく適役。前口上も道化の悲哀をこめて素晴らしいが、屈折したトニオの心情をどす黒い歌で示してくれた。

 

 演出も見事。黒を基調にした「カヴァレリア・ルスティカーナ」に比べると、ずっとリアルな演出。群衆や三人のエンタテナー、道化師たちの動きは最高のエンターテイメントを提供し続けてきたアメリカの最上の演出家によるものだと納得する。

 

 音楽に酔い、ドラマにひきつけられ、それぞれの登場人物に感情移入してその運命を共有し、私自身引き裂かれた気分になり、息をのんでみているうちに結末に進んだ。最後の音の凄まじかったこと!

 

 ところで、2015年5月23日放送された「世界一受けたい授業」でこれまでのベストセラーが紹介され、その中でかつて私が出演した「世界一受けたい授業」(この番組に2度ほど出演した記憶がある)の録画が紹介されたらしい。私の書いた「頭がいい人、悪い人の話し方」が戦後70年間のベストセラー22位だそうだ。軽い気持ちで書いた本だったが、ここまで売れるとは自分でも信じられない。「もっといい本をたくさん書いているのになあ…」というのが本音。

 

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