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義父の死、そしてクス弦楽四重奏団のこと

 66日に義父(妻の父)が亡くなったとの知らせがあり、10日に通夜、11日に葬儀だった。私は、仕事のために11日の葬儀には出席できなかったが、10日には通夜のために車で栃木県まで行き、日帰りした。

 享年88歳。1年ほど前に倒れ、一度は持ち直したが、その後、病院や介護施設に入り、一時帰宅を除いて家に戻ることはできなかった。覚悟はできていた。

 義父は、このブログを読んでくださっている方にわかるように言うと、マレク・ヤノフスキにそっくりの顔立ちだった。ヤノフスキをもっと柔和にして、少し東洋人風にすると義父の顔になる。ヤノフスキの指揮姿を見ると、義父をどうしても思ってしまう。

ヤノフスキのような厳しい人ではなかった。農家に生まれ、長年かなり広い農家を経営してきた人だけに自然とともに生きる価値観を持ち、理系の思考をし、与えられた状況の中で自分らしく生きることを前向きに考える人だった。愚痴を言わず、人生を嘆くこともなく、秘めた思いを口に出すこともなく、淡々と人生を楽しんでいた。私とは共通の関心がまったくないので、突っ込んで話をしたことはなかったが、ちょっとした日常の会話の中に鋭い知性と私にはない価値観をうかがえることが多かった。合掌。

なお、69日、「友引」のために不祝儀ごとは行われなかったので、武蔵野市民文化会館小ホールでクス弦楽四重奏団に赤坂智子のヴィオラが加わった弦楽五重奏曲を中心とするコンサートを聴いた。

若い弦楽四重奏団。第一ヴァイオリンの女性ヤーナ・クスに由来する名称のようだ。前半にモーツァルトの弦楽五重奏曲第1K174とクルターグという現代作曲家の弦楽四重奏曲「小オフィチウム エンドレ・セルヴァンスキを追悼して」。精妙なアンサンブルでしかもロマンティック。音程がびしっと決まっているが、鋭利にアグレッシブに演奏するというよりロマンティズムを感じる。

モーツァルトは特に素晴らしかった。多感で若々しいモーツァルトが浮かび上がる。ちょっとロマンティックすぎる気がしないでもないが、これはこれで実にいい。リズムも素晴らしい。クルターグの曲は、ウェーベルンを思わせるような断章的な音楽。音楽世界の音そのものを追及したような音楽。

後半のブラームスもとても良かったが、ただブラームス最晩年の男性的で深みある音楽が好きな私としては少し肩透かしを食らった感じ。若々しくも情熱的な音楽になっていた。若いころのブラームスのロマンティックな情感がにじみ出る。チェロがあまり表に出ないために、低音部が薄めで、そのため男性的な雰囲気が弱い。とはいえ、ロマンティックな盛り上がりは素晴らしい。第三楽章は抑制していた情熱がほとばしる。

アンコールはカッサシオンからアンダンテ。これもとても美しかった。

武蔵野市民文化会館に車で出かける間、重い暗い気持ちだった。車で武蔵野に向かう途中に、かつて恩師の葬儀の会場となった寺があるので、どうしてもそこを通ると、「死」を思う。が、若々しい演奏を聴いて救われた気持ちになった。

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