藤原歌劇団公演「ランスへの旅」 ロッシーニの醍醐味を味わった
2015年7月4日、日生劇場で藤原歌劇団公演「ランスへの旅」をみた。ロッシーニ・オペラの醍醐味を味わった。
コリンナ役の砂川涼子が素晴らしかった。澄んだ美声でしっかりと響く。清純で思慮深い役をしっかりと歌う。騎士ベルフィオーレを歌う中井亮一も張りのある高音が見事。この二人の二重唱は圧巻だった。メリベーア侯爵夫人の向野由美子とリーベンスコフ伯爵の岡坂弘毅の二重唱も聞きごたえがあった。ドン・プロフォンド役の安東玄人もとても芸達者で見事な早口。
指揮はアルベルト・ゼッダ。年齢を感じさせない溌剌としてわくわくとした演奏。東京フィルハーモニーも破綻なくリズミカルな音楽を刻む。演出は松本重孝。特に大きな自己主張は感じられなかったが、人物の動きもスムーズで、わかりやすく楽しく、美しい演出。ロッシーニのオペラの素晴らしさを十分に味わわせてもらった。
「ランスへの旅」は言うまでもなく、登場人物の大半が高い技術を要するために、なかなか上演できないオペラだ。私にとってはロッシーニのオペラの中ではとりわけ大好きな作品というわけではないが、見るたびにワクワクし、歌手たちの声の饗宴に心躍る。
今回の公演は、日本における最高レベルの歌手を集めてとても見事な舞台になっていた。が、やはり理想的というわけではない。第一幕最後のオーケストラ伴奏のない14人の歌は精妙とは言いがたかった。何人かの音程が不安定なために、美しいハーモニーを紡ぎださない。この場面に限らず、第一幕では、音程の不安定さを感じる歌手が多かった。徐々に調子が上がってきたが、出だしは緊張するのだろう。
とはいえ、日本でこのレベルのロッシーニのオペラを見られることは実にうれしい。ロッシーニは実に楽しい。
悲しいことがあった。恩師の奥様が亡くなったことを知った。学生時代、言葉では言い尽くせないほどのお世話になった。近いうちに一度お伺いしたいと思いながら、そのままになってしまった。すでにご家族で葬儀を終えられたという。合掌。
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