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グラーフ・ムルジャの「カプリース」 とても良かったが、無機質を感じた

 2015717日、武蔵野市民文化会館小ホールでグラーフ・ムルジャの無伴奏ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。曲目はパガニーニの「24のカプリース」全曲。ムルジャはかなり若いヴァイオリニスト。ヨーロッパで注目を集めていると事。私は今回初めて名前を知った。一言でいって、とても良い演奏だったが、感動するまでには至らなかった。

 ものすごいテクニックで弾きまくる。音程がよく、音が美しい。いったいどのように指が動いているのか不思議に思うほど。弦へのアタックの強い音がとりわけ美しい。小気味よい。ただ、どうしても無機質な感じがしてしまう。どう表現してよいのかわからないが、印象として、音と音の間の無音の時間が均一とでもいうか。よく「科学は時空間を均質なものとしてとらえる」という言い方がされるが、ムルジャの音楽も均質な時間の中で成り立っている感じがする。自然な熱気や歌うような抑揚や緊迫感といったものがあまり感じられない。だから、とても良い演奏なのだが、同じような演奏が続いて、つい飽きてしまう。昨年だったか、同じ会場でツェートマイヤーの「カプリース」を聴いたが、その時のような興奮は感じなかった。

 アンコールはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番のアダージョ。均質的なバッハだった。素晴らしく美しい音による正確なリズムのバッハなのだが、パガニーニ以上に、これは物足りない。

 とはいえ、若い才能ある演奏家の見事な「カプリース」を手ごろな値段(なんと1350円!)で聴けて、まったく不満はない。

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