新国立劇場オペラ研修所オペラ試演会「ドン・パスクワーレ」と「こうもり」を楽しんだ
2015年7月18日、新国立劇場中劇場で、新国立劇場オペラ研修所オペラ試演会「ドン・パスクワーレ」と「こうもり」(ともに抜粋上演)をみた。新国立劇場オペラ研修所の公演を私は数年前から楽しみにしている。レベルが高く、初々しい。将来が楽しみな若手が登場して、実に頼もしい気持ちになる。いや、それ以上に毎回大変レベルが高く、心の底から楽しむことができる。今回は、岩淵慶子と木下志寿子による2台のピアノによる伴奏、指揮は河原忠之、演出は粟國淳。
「ドン・パスクワーレ」は、ノリーナを歌う種谷典子の可憐な姿と美しい声にひかれた。エルネストの伊藤達人も輝きのある美声。タイトル役の松中哲平とマラテスタの小林啓倫は、初めのうちこそ緊張のためか少し硬かったが、徐々に本領を発揮。この二人の二重唱もとてもよかった。
このブログを読んでくださっている人はご存知だと思うが、私はイタリアオペラにはかなり疎い。ドニゼッティのこのオペラにもあまりなじんでいない。実演はこれまで見たことがなかった。映像も2本くらいしか見ていない。だから実を言うと、どこをどう縮めているのかもよくわからない。が、とてもおもしろいオペラだと改めて思った。
もう一つの演目「こうもり」のほうはカラヤン指揮、フィルハーモニア管弦楽団のレコードを繰り返し聞いて、私は中学生か高校生のころからなじんできた。
オルロフスキー公爵を歌う高橋紫乃の独特の存在感にとりわけひかれた。音程もいいし、声も美しい。ロザリンデの飯塚茉莉子の歌う「チャルダーシュ」も見事。伊藤達人がこちらではアルフレードを歌ったが、張りのある声が際立っていた。
ピアノ伴奏による短縮版。実にうまく短縮している。ストーリーもしっかりと伝わり、音楽も最高に楽しかった。演出も簡素ながら、十分にそれぞれの魅力が伝わる。中学校や高校にこのヴァージョンの出張公演できないだろうか。オペラの楽しさを日本中に広めることができるだろうと思う。
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