ルナノバ公演、「アルジェのイタリア女」 ロッシーニは楽しい
2015年9月11日、川口リリアホールで、ルナノバ第8回公演、ロッシーニ「アルジェのイタリア女」(ピアノ版)をみた。
全員が大健闘。ロッシーニを上演してくれるのはとてもうれしい。ロッシーニのめったに上演されないオペラをこれからもどしどしお願いしたい。
エルヴィラの川越塔子はきれいな声でしっかりと歌う。ムスタファの田中大揮は太い声。リンドーロの布施雅也は丁寧な歌い回し。イザベッラの鳥木弥生はしっかりとした声。タッデオの増原英也はなかなかの芸達者。ズルマの星野恵里も安定している。ハーリーの小仁所良一もなかなかの演技。ただ、歌手たち全員に音程の不安定さを感じる。一人で歌うときにも声が安定しないでふらつくが、重唱になると美しくハモらない。
指揮は辻博之。ピアノは服部容子。やはりオーケストラで聴きたい気持ちを強く感じる。ロッシーニ特有のワクワク感をピアノだけで出すのは難しいと思った。演出は今井伸昭。おもしろい演出で会場の笑いを誘っていたが、私の趣味からすると、ちょっとドタバタにして笑いを求めすぎているように思った。普通に上演しても、たとえ演奏会形式による演奏でも十分におかしみを感じるオペラなのだから、無理やり笑わせようとする必要はないのではないかと思えてしまう。
第一幕の字幕はあまりに現代的で砕けた表現を多用していた。第二幕に入ると、かなりおとなしくなった。その落差に少々違和感が残る。第一幕だけ、砕けた表現にしようと工夫して、第二幕で放棄したのでは?と疑った。これも私の趣味からすると、それほど砕けさせなくてもよいのではないかと思う。私のわかる限りでは(ごくまれにわかるところがある!)、特におかしなイタリア語ではないのに、方言丸出しの台詞にしているところもあったが、そんな必要はないのではないか。
といろいろ不満を言いつつも、ともあれロッシーニのオペラをもっとみたい。ロッシーニは難しい。難しいロッシーニに挑戦してくれたことに感謝する。
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