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アレクサンダー・マルコフの無伴奏ヴァイオリンに興奮!

 20151019日、武蔵市民文化会館でアレクサンダー・マルコフの無伴奏ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。素晴らしい。圧倒された。

 私がマルコフを知ったのはそれほど前のことではない。大学のゼミの時間、学生にパガニーニのカプリースを聴かせようとしてyoutubeを探した。ものすごい演奏だった。いったいこのすごい演奏家は誰だ?と思って確認すると、それがマルコフだった。そのマルコフが武蔵野市民文化会館で演奏するというので胸をわくわくさせて出かけた。そして、期待通りの素晴らしい演奏だった。

 前半にバッハの無伴奏パルティータ第2番。ジーグまではさらさらと演奏。この時点では、私としては少しだけ期待外れだった。が、シャコンヌになって俄然スケールが増してきた。単に技術がすごいとか、音がきれいとかいったレベルではない。むしろ、音そのものは少し雑な気がした。その点、あまりに達者な印象を受けたyoutubeの演奏と雰囲気が異なる。しかし、まさしく宇宙的な精神世界が一台のヴァイオリンから紡ぎだされる。求心力がすさまじい。がっしりと人の心をもぎ取る感じ。

 後半は、カプリースから1番、11番、6番、16番、20番、24番。これまたすさまじい。とてつもないテクニック。しかし、こぎれいに弾きまくるというのではなく、聴く者の精神を捉えて揺り動かす。ともかくスケールが大きい。24番はことのほか圧巻。構成感が見事で、だれるところがない。あっと驚く音がするが、聴き進んでいくと、その音の展開に納得する。そして、深く感動する。

 最後にシューベルトのエレンの歌Ⅲ。一般に「アヴェ・マリア」として知られている曲。これを無伴奏で演奏する。これにも驚いた。あの聴きなれた「アヴェ・マリア」のメロディなのだが、ヴァイオリンの音が実に感動的。ゆっくりと情緒豊かに鳴らす。しかし、感情に堕することなく、音楽の本質がぐいぐいと迫ってくる。虚飾をすべてはぎ取った後の人間の心そのもののような音楽。ヴァイオリン一台で、まったく不足なく音楽そのものが立ち現れてくる。

 アンコールはマスネーの「タイスの瞑想曲」。無伴奏だが、まったく違和感がない。音楽そのものが立ち現れる。いったいどういう魔法なのだろう。あまりに素晴らしい。

 マルコフは一般にはあまり知られていない。だが、とてつもない巨匠だと思った。この巨匠をなんと1800円で聴けるなんて。

・・・売り切れのはずだったのだが、なぜか空席が目立った。マルコフの真価が知られていないために、チケットを購入しながら、会場に足を運ばなかった人が多かったのではないかと思った。

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