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新国立「ラインの黄金」 感動した!

 2015104日、新国立劇場で「ラインの黄金」をみた。演奏についてはまさしく世界一流の劇場に匹敵すると思う。感動した!

 何よりも飯守泰次郎指揮、東京フィルが圧倒的に素晴らしい。2時間40分、まったく緊張感が途切れず、ワーグナー特有にうねり、厚くしかも精妙な音が奏でられる。これまで時々東フィルのワーグナーに不満を持つことがあったが、今日は満足。まさしくワーグナーの世界が音だけでも広がる。最初の「始原」もよかったが、私はとりわけ第3場のニーベルハイムの場面のおどろおどろしい音にうっとりした。エルダ登場の場面も実に美しかった。マエストロ飯守はまさしく世界の巨匠だと思う。

 歌手に関しては、やはり外国人勢がすごい。とりわけアルベリヒのトーマス・ガゼリとローゲのステファン・グールドが高いレベルの歌手陣の中にあっても図抜けていると思う。声量、歌いまわし、音程の確かさ、そして演技。いずれも役になり切り、「リング」の世界を作り出す。フリッカを歌うシモーネ・シュレーダーも安定した美声で素晴らしい。ミーメのアンドレアス・コンラッド、エルダのクリスタ・マイヤーもまさしく役柄にぴったりの声と歌。ヴォータンを歌うユッカ・ラジライネンは少し不調なのかもしれない。悪くはないのだが、ちょっと声に伸びを欠く気がした。

 日本人歌手陣も健闘していると思う。安藤赴美子(フライア)、黒田博(ドンナー)、片寄純也(フロー)、増田のり子(ヴォークリンデ)、池田香織(ヴェルグンデ)、清水華澄(フロスヒルデ)は外国人にまったく遜色がないと思う。

 ただ、やはり演出の古めかしさはいかんともしがたい。なにしろ、ゲッツ・フリードリヒの演出なのだから。一時代をなした演出家だが、1980年代に活躍し2000年に亡くなった人だ。今回とは別の演出(タイムトンネルを使った演出だった!)だが、私が1987年に東京でみた「リング」のチクルス(オーケストラもさることながら、ルネ・コロの歌うジークフリートに度肝を抜かれたのをよく憶えている!)もゲッツ・フリードリヒ演出だった。

しかも、今回、フリードリヒの新演出というわけではなく、ヘルシンキで以前上演されたものだという。20年前には斬新だったのかもしれないが、今となれば、とりわけどうということのない、これまで何度も見てきたものと同じような演出だった。やはり、東京の新国立劇場として、新たな演出を世界に発信してほしい。あるいはせめて、新しい演出意図にあふれて、世界で話題になっているものを見せてほしい。

とはいえ、これほど素晴らしい演奏を聴かせてくれると、演出が古いのも気にならなくなる。演出に音楽の邪魔をされなかったことでよしとしよう。

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コメント

お久しぶりです。最近忙しくなかなかコメントできずにいましたが、今回コメントさせていただきます。私は初日の公演を観たのですが、少々不満を感じました。弦楽器の音がなかなか響かず金管もコンディションが良好とは言えなかったので物足りなかったです。9月の読売のトリスタンを聴き感動しすぎて、その反動で今回はあまり感動しませんでした。14日の公演も行くので初日よりよくなっていることを期待します。

投稿: がんばれ!公共放送NHK | 2015年10月 8日 (木) 09時38分

がんばれ!公共放送NHK 様
コメント、ありがとうございます。
そうですか。初日はよくありませんでしたか。
新国立のオケについては(そして、おそらく日本のすべてのオペラ公演のオペラについても)、初日は確かにいつもよくないですね。練習時間が取れないのでしょう。きっと14日は素晴らしいのではないかと思います。
カンブルランの「トリスタン」、本当に素晴らしかったですね。私はカンブルランとは異なったマエストロ飯守の伝統的な音を基盤にしたワーグナーも大好きです。

投稿: 樋口裕一 | 2015年10月10日 (土) 07時29分

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