キエフ国立フィルの二つの「第九」に失望
2015年12月21日、武蔵野市民文化会館大ホールで、ニコライ・ジャジューラ指揮によるキエフ国立フィルハーモニー交響楽団のコンサートを聴いた。なんと、曲目は前半にドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」、後半にベートーヴェンの交響曲第9番。要するに、二つの「第九」(とはいえ、今は記憶している人は少ないかもしれないが、私が音楽を聴き始めたころ、「新世界」は交響曲第5番と呼ばれていた。私が中学生のころ、突然、交響曲第9番になって驚いたのを覚えている!)。
二つの「第九」を聴けるなんてお得だと思って会場に行ったが、はっきり言ってかなり期待外れだった。いや、それどころか、「この人たち、本当にプロなのだろうか?」と思う箇所が何度かあった。
まずオーケストラの音程が甘い。最初から最後までずっと音が濁って聞こえたのは、私の耳のせいではあるまい。「新世界」の第一楽章の最後、コントラバスが異様な不協和音を出していた。ホルンも終始、不安定。第九の第三楽章も予想通り音を外した。木管楽器もアンサンブルが合わない。
ニコライ・ジャジューラの指揮はいたって普通。ただ、オーケストラがこれほど不調では指揮がどうこうという以前の問題だと思う。いったいどうしたのだろう。これがこのオーケストラの実力なのだろうか。それとも、本日は不調なのか。あるいは、本日はふだんと異なるメンバーが演奏しているのか。
ベートーヴェンの第九の第四楽章になってだいぶ良くなった。ソリストは全員が声量のある美声(ソプラノ:イワンナ・プリシュ、アルト:オリガ・タブリナ、テノール:オレクサンドル・チュフピロ、バス:アンドリー・マスリャコフ)。ただし、音程はソリストたちも少し不安定だった。
もっとも感銘を受けたのは合唱団だった。辻志朗指揮による「キエフ国立フィル第九公演記念合唱団」という名称になっている。急ごしらえの合唱団なのかもしれないが、声もよく出て音程も安定していた。オーケストラよりもずっとレベルが高いと思った。
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