オイストラフ弦楽四重奏団 アンコールのショスタコーヴィチのスケルツォに涙を流した!
2016年1月26日、武蔵野市民文化会館でオイストラフ弦楽四重奏団の演奏を聴いた。圧倒的な演奏だった。
このロシアの若手による弦楽四重奏団は言うまでもなくあのダヴィッド・オイストラフから名前をもらっている。オイストラフは私が20代のころの私の最も好きなヴァイオリニストだった。その名を冠したカルテットなら、聞かないわけにはいかないと思って出かけたが、期待をはるか上回る凄まじい演奏だった。
曲目は前半にチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番とシューベルトの弦楽四重奏曲第12番「四重奏断章」。最近の若手の弦楽四重奏団によくある透明で緻密でシャープな音によるアンサンブル。完璧な音程で生き生きとした音を紡ぎだす。悪い言葉で言うと「ぬるく」なりがちなチャイコフスキーが、透明で溌剌とした目の覚めるような曲になっている。逆に言うと、チャイコフスキーから甘ったるい感傷がはぎとられている。シューベルトも同じような印象。前半を聴いた時点では、すごい演奏だが「一長一短」だという気がした。
だが、後半のンメデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第2番を聴いて心の底から納得。本当に素晴らしいメンデルスゾーンだった! 若々しい心の葛藤が研ぎ澄まされたシャープな音でドラマティックに再現される。メンデルスゾーンの弦楽四重奏は一般的にはあまり評判がよくないが、これを聴くとベートーヴェンに匹敵するといいたくなってくる。魂が揺り動かされ、何度か涙が出そうになった。
その後、パガニーニの「カプリース」より第20番、第1番、第24番。超絶技巧の無伴奏ヴァイオリン曲を弦楽四重奏で演奏する編曲だが、一人の難しいパートを四人で分けてやさしくしているのではなく、4人全員がそれぞれ超絶技巧の演奏をする。見事。
そして、何よりもすごかったのがアンコールで演奏されたショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲 第3番第3楽章スケルツォ。ショスタコーヴィチらしい魂のすべてをたたきつけるようなヒステリックともいえる曲を緻密に熱狂的に演奏。私はただただ魂を揺り動かされ、感動し、興奮した。涙が出てきた。最後に、チャイコフスキーの「子供のアルバム」から「甘い夢」で興奮を沈めてコンサートは終わった。
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