インキネン+プラハ響 美しい音の世界
2016年1月12日、武蔵野市民文化会館でピエタリ・インキネン指揮、プラハ交響楽団の演奏を聴いた。
曲目は、前半にスメタナ「モルダウ」、シベリウス「フィンランディア」、ブラームス「ハンガリー舞曲集」第1番・第5番、ドヴォルザーク序曲「謝肉祭」、「スラブ舞曲」第8番・第10番。ニューイヤーコンサートとのことで、前半盛りだくさん。後半にドヴォルザークの交響曲第6番。アンコールは「ラデツキー行進曲」。
インキネンはきわめて知的でドラマティックな指揮ぶり。プラハ交響楽団は、音自体は東欧的なふくよかさと古めかしさを感じさせるが、実に繊細な美しい音でありながら、とてもダイナミックに音が鳴り、十分に切れがいい。とてもいいオーケストラだと思った。「モルダウ」を聴いた時点で、素晴らしい演奏だと思った。起伏がありドラマティックでしなやか。
ただ、続く曲も大差ない雰囲気。ニューイヤーコンサートということもあるのかもしれないが、つぎからつぎに曲が進んでいく。もっと一曲一曲の曲想の違いを明確にしてじっくり聞かせてほしいと思った。
インキネンは情念に身を任せるタイプではなさそう。「フィンランディア」もシベリウス特有の情念の爆発を聞かせようとしない。ドヴォルザークも抒情を排した雰囲気。十分に盛り上がるが、かなりドライ。決して嫌いなタイプの演奏ではないが、別の作曲家の曲を同じ雰囲気で演奏されると、ちょっと抵抗を感じる。
後半の交響曲第六番も同じような雰囲気だった。むしろ、意識的に抒情に流れるのを避けているのだと思う。感情を込めるのではなく、音そのものの美しさや響きで聴かせようとしている。それはそれでとても説得力がある。細部もしっかりしているし、バランスもとれている。ただ、やはりドヴォルザークはもう少し抒情的に演奏してほしい・・・と思うのは先入観だろうか・・・。
大感動とまでは行かなかったが、プラハ交響楽団がとても良いオーケストラだと知ったし、インキネンという指揮者もとても興味を持った。日フィルの首席客演指揮者になったというので、もう少し聴いてみたい。
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