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マニラ旅行まとめ

 2016年2月18日、無事にマニラから帰国したが、その翌日からこのブログにはバレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンのコンサートについて書いたので、マニラ旅行についてのまとめを書けずにいた。数日たってしまったが、ここにマニラについて考えたことを箇条書きにしてみる。3日間滞在しただけの浅い知識しかないが、それはそれで有益な面もあるだろう。

・思ったほど暑くなかった。昼間31度くらい。夜は25度くらいだった。

・マニラは間違いなく途上国だった。1980年代のタイの経済状況と変わらない。その後の高度成長から取り残されている。詳しいことはわからないが、多くの島から成っていて、国としてのまとまりを作れないこと、賄賂政治がまかり通っていること、そのために法的、法的意識が弱いことなどが原因と考えられそうだ。

・法を順守する、決まりを守るという意識の希薄さを交通状況を見ても思う。「運転免許は賄賂を出せば手に入る。それだけでなく、賄賂を出さないと落とされることがある」というのは本当だろうと思った。

・おそらくマルコス時代に国家としての基礎作りをしていれば、こんなことにならなかったのだろう。ところが、そのころに私腹を肥やし、賄賂社会ができてしまったために、いつまでもそこから脱曲できずにいるようだ。ただし、ガイドさんによると、マルコスの人気は今は高いとのこと。

・市内観光のガイドさんは、しばしば「日本人は頭がいい。韓国人は頭がいい。中国人は頭がいい。フィリピン人は頭が悪い」といっていた。誇りを持っていないのを感じる。

・フィリピンが出稼ぎで外貨を得ていることはよく知られている。小学校の先生になるような知的な人であっても、フィリピン国内では稼げないので、海外でメイドになる。そのほうが稼ぎがよい。5倍くらいの収入になるという。そして、数年働いて帰ってくると、お金持ちになっているとのこと。

・フィリピンは頭脳流出しているという面もあるだろう。優秀な人、意欲のある人は海外に行く。その結果、国内の教育者のレベルも下がる。国民全体の教育水準も落ちる。その悪循環がありそう。これではいつまでたっても国の発展が望めそうもない。グローバル化して、海外に出るのが容易になって現在、いっそう悪い方向に進んでいる。

・私たちからするとマニラ全体が一つのスラム街に見えるが、その中にも正真正銘のスラム街がある。サンチャゴ要塞から異様な風景が見えたので、ガイドに尋ねたら、それがスラム街だといわれた。遠くからだったのでよくわからなかったが、地滑りになっているような巨大な坂に人が住み着いているように見えた。我々の感覚では、そこは「ごみ溜め」に近い。ただ、ガイドさんによれば、かつてごみ溜めに人が住んでいたが、今はそれは取り払われたとのこと。

・食事はそこそこ立派な店で済ませた。土やコンクリートの上に汚いイスとテーブルを置いただけの食堂がいくつもあったが、さすがに身体を壊すのが怖くて入れなかった。エアコンがついて、警備員がドアにいるような店で食べたが、フィリピン料理は特に美味しいとは思わなかった。

・やはり、マニラの一人旅はかなり厳しい。前に書いた通り、1時間半ほど繁華街を歩いただけで、私は二人の人間に付きまとわれた。私はどちらかというと旅慣れた人間の部類に入るだろう(今回のフィリピンの旅で32か国を旅したことになる)し、少なくとも快楽やアヴァンチュールを求めて街をうろつく男に思い違いされないはずだ。しかも、お金持ちに見えない旅のスタイルであることは自信をもって言える。それなのに日本語を使う怪しい人間に付きまとわれる。付きまとわれると、周囲にその人の仲間がいるのではないか、どこかに連れ込まれるのではないか、どこかに逃げ込んで助けを求めても言葉が通じないと相手のいいようにされてしまうのではないか、そんな恐怖を覚える。恐怖で済まずにそうなる恐れも十分にある。女性や旅慣れない人、無防備な人には一層危険だろう。

・64歳の私にはマニラ一人旅は、もうこれから先は難しいと思った。ちょっとしたかっぱらいに絡まれても、そこから走って逃げたり、相手の暴力を防御するくらいの体力がないと、マニラ市内のあちこちを見ることができない。マニラだけでなく、途上国ではほぼ同じことが言えるだろう。

・マニラの空港からホテルまでの「クーポンタクシー」の代金が2250PHP だったことは前に書いた。帰路も、ホテルから空港までタクシーで行った。300PHPだった。空港から乗った時の7分の1以下。とはいえ、おそらく製造から間違いなく20年以上、ことによると30年以上たっていそうなやっと動いている日産の車(シートベルトはついていなかった!)で、まさしくポンコツ。運転手さんも、後ろにいて不安になるような老人だった。それを考えれば、初日の2250phpもよしとしよう。

 

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