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2016年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2日目の感想

 昨日の段階では、2016年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンはちょっと低調では? と思ったのだったが、2日目を聴き終わって、それが危惧に過ぎなかったと思いなおした。いくつもの素晴らしい演奏を聴いた。ただ、途中、腰痛のために、予定していたコンサートを聴かず、マッサージを受けた。が、その甲斐あって、ともあれ回復。

感想を書く。ただし、最後のコンサートが終わったのが22時20分頃だったので、もう遅い。ごく簡単に書くだけにする。

 

・トリオ・オウオン(シャルリエ、シュトロッセ、ヤン・ソンウォン シューベルト「ノットゥルノ 変ホ調」、ブラームスのピアノ三重奏曲第1

 深い味わいの素晴らしい演奏。熟成した濃厚なチーズのような味わい。様々な目に合い、様々な体験をした人の深い思いとでもいうか。決してドイツ的ではなく、かなりフランス的だが、秘めた情熱が感じられる。感動した。

 

・ダヴィッド・カドゥシュ(ピアノ)、黒木岩寿(コントラバス)、モディリアーニ弦楽四重奏団 シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」

 トリオ・オウオンに比べるとずっと若々しい演奏。これも見事なアンサンブルで、しかも生き生きとしていてよかった。ただ、トリオ・オウオンの後にこれを聴くと、ちょっと若すぎる気がする。それがこの演奏のよさでもあると思うが。

 

・コロンえりか(ソプラノ)、広瀬悦子(ピアノ)、吉田誠(クラリネット) 「春に」「さすらい人の夜の歌」「野ばら」などのシューベルトの歌曲

 コロンえりかは初めのうちは音程が不安定だったが、しり上がりに良くなった。が、シューベルトの初々しさ、その苦悩を描き切るにはまだ若すぎると思った。広瀬のピアノ伴奏、吉田のクラリネットは素晴らしかった。

 

・ウラル・フィルハーモニー管弦楽団、ドミトリー・リス(指揮) ストラヴィンスキー「火の鳥」組曲、チャイコフスキー「白鳥の湖」作品20より

 ちょっと大味。繊細さよりもドラマティックな盛り上がりを重視した演奏。この曲はこれでよいのかもしれないし、観客には大うけしていたが、私の好みではない。

 

・アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番「田園」、第17番「テンペスト」、第21番「ワルトシュタイン」

 もう少し激情がほしいと思ったが、この理性的なアプローチがエル=バシャの音楽なのだろう。構築的で知的で、抑制されたリリシズムがある。それぞれの曲の特徴を丁寧に描き分ける。3曲連続だったが、飽きることなく、そして十分に感動して聴いた。

 

・オリヴィエ・シャルリエ(ヴァイオリン)、アンヌ・ケフェレック(ピアノ)

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」

 昨日の梁さんとまったく同じ曲目。だが、演奏はまったく異なる。トリオ・オウオンと同じような味わい。シャルリエの美音のなかにあらゆるものが込められているかのよう。繊細でロマンティック。ドラマティックな盛り上がりはほとんどないが、これほど一つ一つの音が美しくて丁寧で、そこに心が込められていると、それだけで感動してしまう。素晴らしい演奏。シャルリエは大ヴァイオリニストだと認識した。

 

・ジラール弦楽四重奏団 ハイドンの弦楽四重奏曲第67番「ひばり」、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番(「ラズモフスキー第2番」)

 若い弦楽四重奏団。どうも顔が似ていると思ったら、4人は兄弟(2人は男性、2人が女性)らしい。モディリアニ弦楽四重奏団よりももっとずっと音楽がふくよか。一つ一つの音が太く、しかも柔和でロマンティック。だが、アンサンブルは完璧。ただ、速い楽章は素晴らしいのだが、緩徐楽章には課題を残しているように思った。ベートーヴェンの第二楽章では、私は緊張感が不足しているように思った。だが、最終楽章などは圧倒的だった。これからの音楽界を担う若手弦楽四重奏団の登場だと思う。

 

・リュシー・シャルタン(ソプラノ)、ゾエリーヌ・トロイエ(アルト)、ファビオ・トゥルンピ(テノール)、アンドレ・モルシュ(バリトン)、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィア、ダニエル・ロイス(指揮) ハイドンのオラトリオ「天地創造」

 

 実は、「天地創造」の実演を聴くの初めて。CDでも数えるほどしか聴いたことがない。だから、演奏についてはあまり言えない。が、素晴らしい演奏だと思った。歌手陣は世界最高レベルだと思う。透明な声で清潔な歌いまわし。とりわけソプラノのシャルタンの高温の美しさに感動した。指揮も的確だと思う。曲自体もとても美しい。親しみやすいメロディの連続。ただ、あまりに人間中心主義的な気がしてしまう。ハイドンよりものちのヴェルディにもブラームスにもフォーレにも、宗教曲の中に人間にはコントロールできない神の世界への敬意と畏れがある。だが、ハイドンのこの曲は創世記があまりに人間化されている。あまりに人間的なメロディが続く。そのうち考えてみたいテーマだ。

 

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