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オペラ映像「アミカ」「アルジェのイタリア女」「新聞」

 少し時間的余裕ができた。久しぶりにオペラ映像をみたので、簡単に感想をまとめる。

 

889 マスカーニ「アミカ」 ヴァッレ・ディトリア音楽祭 2007年

 先日、静岡県民オペラ公演「イリス」をきいて、マスカーニの真価を知ったので、このDVDを購入した。先に言ってしまうと、よくぞこのレベルの上演を映像化したものだと、むしろ感心するくらいの質の低い演奏だ。

マンリオ・ベンツィ指揮のイタリア国際管弦楽団(どんなオケなんだろう?)の音がかなり濁っているし、切れもよくない。聴くのがつらくなるほど。歌手陣も超一流ではなさそう。悪い歌手というわけではないが、しばしば不安定になる。それにヒロインのアミカを歌うアンナ・マラヴァージ(オリジナルがフランス語によるので、これはアミーカではなく、アミカと発音するべきだろう)を除いて、ダヴィド・ソトジュ(ジョルジョ)もピエルルイジ・ディレンジーテ(リナルド)もマルチェッロ・ロジエッロ(カモワーヌ)も、あまりにイタリア訛の強いフランス語で歌いまくる。

 ただオペラとしては、これはなかなかおもしろい。「カヴァレリア・ルスティカーナ」や「イリス」を思わせるところがいくつもある。ジョルジョとリナルドの兄弟の両方から愛され、ジョルジョとの結婚を叔父に命じられて、リナルドを愛するアミカは苦しむ。最後の場面はかなりストーリー展開に無理があるが、ともあれドラマティックでしかも田舎の情緒がしっかりと描かれる。アレッシオ・ピツェッシュの演出もわかりやすい。

 

960 ロッシーニ「アルジェのイタリア女」2006年 ペーザロ ロッシーニ音楽祭

 とても楽しい。歌手陣もそろっている。イザベッラを歌うマリアンナ・ピッツォラートが太めの声ながら軽快に歌う。とても魅力的。ムスタファーのマルコ・ヴィンコ、タッデーオのブルーノ・デ・シモーネともになかなかの芸達者で声もよく通る。声がきれいだし、実にうきうきと楽しくなってくる。エルヴィーラのバルバラ・バルニェージもアリのアレックス・エスポージトも安定している。ただ、リンドーロを歌うマキシム・ミロノフが私には耐えがたい。この人が歌うときには私は耳をふさぎたくなる。ほめる人もいるのが、私には信じられない。私には音程がくるって、しかも不安定に聞こえる。最も苦手なタイプの歌手だ。

 指揮はドナート・レンゼッティ。ロッシーニらしく生き生き溌剌で、大変気に入った。ボローニャ市立歌劇場管弦楽団も悪くない。ダリオ・フォーの演出はとても楽しい。賑やかで色彩的。着ぐるみの動物たちが登場。様々なモノまでが浮き立ち、動く。舞台上でロッシーニの音楽にぴったりの動きが展開される。ミロノフがほかの人に変わっていれば最高だったのに・・・と思った。

 

038 ロッシーニ「新聞」2014年 ワロン王立歌劇場

 第一幕に新発見の五重唱が加えられているという。世界初収録らしい。事情はよく知らないが、とても楽しい音楽だった。

 歌手陣は突出した人はいないが、全員がそろっている。リゼッタを歌うチンツィア・フォルテは容姿も美しいし、声も特に高音がきれい。ドラリーチェを歌うジュリー・ベイリーもとても魅力的。フィリッポのローラン・クブラもしっかりした声と歌いまわし、アルベルトを歌うロッシーニ・オペラの常連エドガルド・ロチャもよい味を出している。ドン・ポンポーニオを歌うエンリコ・マラベッリもアンセルモを歌うジャック・カラタユーも芸達者。ただ、歌に感動するというほどではなかった。

 ステファノ・マッツォニス・ディ・プララフェラの演出はちょっと遊びすぎの感がある。レチタティーヴォの部分で別の作曲家の曲が出てきたり、おふざけの場面があったり。とても色鮮やかで楽しいのだが、私にはついていけないところがあった。

 もっとも問題を感じたのはヤン・シュルツ指揮によるワロン王立歌劇場管弦楽団だった。音が貧弱で溌剌とした楽しさが伝わらない。あちこちでもたつく感じ。オーケストラの性能にも疑問を抱いた。

 

468 マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」、レオンカヴァッロ「道化師」 チューリッヒ歌劇場 2009

 ホセ・クーラがトゥリッドゥとカニオを歌う。以前、NHK・BSでも放映されたもの。やはりクーラがあまりにすごい。その存在感、強い声、生々しさ。「カヴァレルア・ルスティカーナ」のサントゥッツァを歌うパオレッタ・マオシュもきれいな声だが、クーラのトゥリッドゥと比べると、やはり少々弱い。ローラはしばしば容姿が美しいだけのあまり有名でない歌手が歌うが、この映像ではリリアーナ・ニキテアヌ。ローラにふさわしい容姿としっかりした声で素晴らしい。

「道化師」のほうは、フロレンツァ・チェドリンスが美しく、しかも芯が強くて、ちょっと育ちの悪そうなネッダを見事に演じている。トニオのカルロ・グエルフィも冒頭の前口上を含めてとてもいい。ただ、これもクーラのとてつもない存在感が目立つ。

 グリシャ・アサガロフの演出は大胆な色遣いと賑やかさでとてもいい。際立った新解釈はないと思うが、舞台上に引き付けられる。ただ、私としてはステファノ・ランツァーニの指揮のせいか、音楽そのものにぐいぐいと引き付けられることはなかった。

 

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