« オペラ映像「ヴォツェック」「チェネレントラ」「イタリアのトルコ人」「セビーリャの理髪師」「アルジェのイタリア女」「ドン・ジョヴァンニ」 | トップページ | ソウルから帰国した »

ソウル旅行

 昨日(2016年8月24日)からソウルに来ている。日常から脱出するため、時々ぶらっと旅に出たくなる。

 自宅近くからリムジンバスで羽田に向かったが、エアコン故障ということで、異様に暑かった。朝のバスだったのでまだよかったが、出発前に疲れ切ってしまった。

 1時間40分で金浦空港に着陸。前回のマニラ旅行で懲りたので、空港からホテルまでの送迎を前もって頼んでいたが、迎えの人が遅刻。まあ、そんなこともあるだろう。が、トラブル続きはそこまでで、それからは順調。

 昨日の夜と今日の午前中はオプショナル・ツアーに参加した。私の旅の流儀は目的もなく、ただやみくもに街の中をとぼとぼと歩きまわることなのだが、寄る年波と運動不足で足が弱り、夏の暑い時期でもあるので、それはつらい。オプショナル・ツアーを利用することにした。

 昨晩はコリア・ハウスでショーと宮廷料理を堪能。ショーは「沈清」をテーマにした音楽と劇と踊り。いわば、コリアン・オペラ。観光客向けのショーでもあり、舞台で太鼓をたたいたり踊ったりする人の多くが若くてきれいな女性なので、このツアーに申し込んだのは失敗だったのでは?と一瞬思ったが、そんなことはなかった。まずは音楽のレベルの高さに驚いた。雅楽に似た楽器や琴がある。ことの一つははじくのではなく、弓で弾いていた。笛や弓で弾かれた琴は「泣き」を表現するのに適した楽器なのだと思った。そして、オーボエとトランペットを合わせたような楽器が魂をえぐるような「泣き」を作りだす。泣いてばかりではうんざりするが、そこに笑いがあり、凄まじい迫力の太鼓の乱打があり、帽子の先のリボンをぐるぐる回す踊りがあって、楽しめる。日本人にはないエネルギー。

 「沈清」は韓国では有名な物語らしい。かなり現代的にアレンジされているので、どこまでが古典芸能でどこからがアレンジなのかわからない。観客の数人を舞台に上げていじるなどのサービスもある。そのすべてがショーとして見事。感動した。古典芸能そのものを見せられてもきっと退屈するだろうから、このくらいのほうが外国人にはありがたい。とはいえ、日本に帰ったら、少し韓国の古典芸能を調べてみたいと思った。

 その後、宮廷で昔から使われていた食材を用いての料理。ただ、こちらのほうはあまりおいしいとは思わなかった。これについては少々残念。とはいえ、舞台を楽しめたので、良しとしよう。

 本日(2016825日)、午前中またオプショナル・ツアーで昌慶宮(チャンドックン)と宗廟(チョンミョ)、をみて、仁寺洞(インサドン)の散歩をした。チャンドックンは15世紀初めに王の離宮として作られ、日本が植民地支配するまで用いられていた王の住まい、チョンミョは歴代の王の位牌が安置されている廟。ともに世界遺産に登録されている。広大な土地をそれぞれ1時間近くかけてガイド付きで回った。その後訪れたインサドンは筆のモニュメントがあり、様々な工芸品や土産物屋の並ぶ商店街。日本と雰囲気が異なるのはハングルのためだけではなさそう。とてもおもしろかった。

案内を聞いているときには理解したつもりだったが、その内容をここに書くのは難しい。朝鮮半島の歴史について無知なため、うまく頭の整理ができない。韓国ドラマの「チャングムの誓い」は、ヒロインの美しさに惹かれてみていたので、それとの関連でなじみの言葉もあったが、やはりその程度の知識では、案内されるうちから忘れてしまう。ただ、朝鮮文化のレベルの高さ、建物としての美しさは認識できた。といいつつ、隣の国の歴史にこれほど無知であった自分を恥じた。

 ホテルで一休みしてから、約束していた韓国人の知人と再会してイタリアンのお店で夕食をともにした。韓国美人も同席。楽しい時間を過ごすことができた。

 とても充実した一日ではあったが、今日は久しぶりに歩いたので、情けないことに大変疲れた。しかも、ガイドさんの解説を立って聞いていたために腰痛がぶり返した。うーん、一人で旅するのも疲れ、オプショナル・ツアーに参加するのも疲れる体になってしまっている自分に愕然。日ごろから体を鍛えなくちゃ!

|

« オペラ映像「ヴォツェック」「チェネレントラ」「イタリアのトルコ人」「セビーリャの理髪師」「アルジェのイタリア女」「ドン・ジョヴァンニ」 | トップページ | ソウルから帰国した »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

樋口先生
はじめまして、あやのと申します。

学生時代、先生の小論文対策書籍にお世話になりました。
わかりやすく、論理的な文章を書きたいと思っていた私にとって、
先生の著書はまさにどんぴしゃりで驚きと喜びの連続でございました。

最近は何かと忙しく、趣味である物書きに割く時間がなかったのですが、書店で先生の「人の心を動かす文章術」を見つけ、早速手に取り拝読したところ、久しぶりに創作への熱がふつふつとわきあがってきました。
現在は、友人とリレー小説(交換日記の小説版のようなもの)をし、楽しんでいます。

さて、先生はソウルへのご旅行中なのですね。
日々過ぎ行くままに生活しているような気がしているので、
私も旅に出たいと思っておりますが、いつになることやらと。

韓国は日本に近い国で、K-POPなどのエンタメ的な部分には多少知識がありますが、宮廷文化や古き良き芸術作品には意外と理解が浅いように思えます。

先生が作中に出されている「チャングムの誓い」は、
実は私もリアルタイムで見ていたのですが、
内容についてはほとんど覚えておりません(笑)
絢爛豪華な宮廷生活と、主演の女優さんが美人だったことぐらいでしょうか……。

今後、お隣の国韓国についても、もう少し興味をもち、
調べ物をしてみたいと考えています。


最後になりますが、もう8月も終盤に入り、
徐々に涼しくなっているとは思いますが、
それでも暑さの厳しい昨今でありますので、
どうぞご自愛くださいませ。

また、お邪魔させていただきます。

あやの

投稿: あやの | 2016年8月26日 (金) 18時49分

あやの様
コメントありがとうございます。そして、拙著をお読みくださり、感謝にたえません。しかも私の本に触発されて、文章を書きたい気持ちが高まったとのこと、うれしいことです。お役に立てればこんなうれしいことはありません。
韓国は気軽に出かけられ、しかも様々に楽しめる国だと思いました。そして、豊かな文化を持つ国だということも再認識しました。短い旅は精神のリフレッシュにもいいと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2016年8月27日 (土) 16時45分

樋口先生
こんばんは、お返事ありがとうございます。

ここ最近は筆をとることにほぼ縁がなかったのですが、
いざ始めてみると意外とスラスラ頭のなかが表現できるということに、
自分のことながらかなり驚いています。
この驚きを与えてくださった樋口先生には、
学生時代以上に感謝! です。ありがとうございます。

旅行というと、どうしてもイタリアやアメリカなどのヨーロッパ方面をメインに考えてしまいがちですが、あえてアジア圏を攻めてみるのも面白そうですね。
例えば同じく距離の近い台湾では、友好的な人たちと美味しい食事とで、大満足して帰国する例が多いのだとか。
私も一度、行ってみたいものです。

PS
現在公開されているアニメーション映画「君の名は」
という作品は、とても興味深いですね。
一般的な青春物と思いきや、奥に隠されたものがあるのだとか。
全体的な雰囲気もとても爽やかで、みずみずしいイメージです。

いわゆる青春時代が過ぎてしまうと、こういった学生時代の荒削りだけれどもエネルギッシュで輝く時間を忘れがちになりますが、
それはとてももったいない。

私に創作のきっかけをくださった樋口先生の書籍のように、
日常を豊かにするヒントを探し続けていきたいものと思っております。

長くなりました
また、お邪魔させていただきます。

投稿: あやの | 2016年8月27日 (土) 20時10分

あやの 様
コメント、ありがとうございます。
文章を書くことを楽しまれているご様子、うれしい限りです。
私は、これまで30か国以上を訪れましたが、その中でも深い感動を覚えたのはアジア諸国です。もちろん欧米も素晴らしいのですが、アジア諸国もまた格別です。かなり手軽に行けますし。機会がありましたら、ぜひ訪れてみることをおすすめします。
「君の名は」、噂は聞いていますが、テレビ放映を待とうかと思っています。でも、きっとおもしろいんでしょうね。

投稿: 樋口裕一 | 2016年8月31日 (水) 22時47分

樋口先生
お返事ありがとうございます。


最近は、友人の大学生とのリレー小説が面白く、
どういう展開にしようか考えつつ、日々過ごしています。

自分一人で書くものではありませんので、
相手が返してきたことにうまく応えねばならず、
頭を捻ることも多いですが、良い刺激になっています。


アジア圏内は、やはり、日本と雰囲気が似ているのでしょうか
欧州圏内は、少し距離的に遠いからこそ、身構えてしまうのかもしれませんが、アジアはアットホームに(?)楽しむことができ、
そういう状態だからこそ、見つけられるものが多いのかもしれません。

私も刺激や癒しを得るために、旅立ってみたいと考えています。


PS
君の名は、かなり反響が大きいようですね
監督さんのツイッターも、盛り上がっているようです

PPS
樋口先生に触発され、私もココログでブログを始めました
実は、過去にも何度かブログをやっていたのですが、
恥ずかしながらあまり続かず

物書きは、日々訓練だと思っていますので、
できるだけ毎日、楽しみを見つけて書いていきたいです
また、よければ足をおはこびいただけると幸いでございます。

投稿: あやの | 2016年9月 2日 (金) 19時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ソウル旅行:

« オペラ映像「ヴォツェック」「チェネレントラ」「イタリアのトルコ人」「セビーリャの理髪師」「アルジェのイタリア女」「ドン・ジョヴァンニ」 | トップページ | ソウルから帰国した »