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オペラ映像「ロアン家のマリア」「ミカド」「ノルマ」「カプレーティとモンテッキ」

 いよいよ明日から授業開始。明日は922日、秋分の日なのだが、今どきの大学は祝日も授業が行われる! 小学生のころからずっと、夏休みの終わりにはいつも「ああ、結局したいことはできないまま夏が終わってしまった!」と思ってきたが、65歳になってもまだ同じ思いを繰り返している!

 いくつかオペラ映像をみた。いずれも、私が子どものころからなじんできたドイツ系のオペラではない。イタリアオペラは悪くないな・・と思うこのごろ。とはいえ、やはり本音としてはドイツもののほうがいい。感想を書く。

 

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ドニゼッティ「ロアン家のマリア」2011年 ベルガモ ドニゼッティ劇場

 グレゴリー・クンデ指揮のベルガモ・ガエターノ・ドニゼッティ音楽祭管弦楽団があまりに貧弱な音。名歌手クンデも指揮者としてはまだまだ十分にオーケストラをコントロールできていないようだ。

そのために私は音楽を楽しめなかった。歌手陣も声を十分にコントロールできていないように思える。マリア役のマジェラ・クラー、リッカルド役のサルヴァトーレ・コルデッラともに、なかなかの美声なのだが、音程が不安定で、時々聴くのが苦しくなってくる。エンリーコ役のマルコ・ディ・フェリーチェはこの二人よりは少し聞きやすいが、それでも声を張り上げすぎているように思える。演出については、傾いた巨大な額縁を背景に青色で統一された舞台がおもしろいが、三つの幕の差がないため、少々飽きる。最後に青の色調が赤に変わるが、

 そんなわけで、演奏が気になって、ドニゼッティのオペラがどうこうといえるほどきちんと聴けなかった。ストーリーについては、ちょっと無理があるものの、それぞれの人物がジレンマに引き裂かれる状況がなかなかドラマティック。良い演奏で聴くときっと感動するだろう。

 

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ギルバート+サリヴァン オペレッタ「ミカド」 1987年 シドニー・オペラ・ハウス

 言うまでもなく、日本を舞台にしたオペレッタ。しかし、実を言うと、このオペレッタの映像を見るのは初めて。音楽も、部分的にはかつてFM・NHKで聴いた記憶があるが、全曲は初めて。で、やはりあまり面白くなかった。それどころか、やはり日本人としては不愉快になってくる。

 まず登場人物の名前が、ヤムヤムだのナンキ・プーだのココだのと、まったく日本人とは思えない。この演出による登場人物の服装も中国風だったり東南アジア風だったり。日本風のものも、歌舞伎もどき。しかも、日本人が揶揄されていると思われる部分がいくつかある。1987年という時代のせいなのだろうか。今だったら、このような演出は許されないのではないか。

 音楽についても、歌詞が英語であるせいか、古めかしいミュージカルに聞こえる。アンドリュー・グリーンの指揮によるエリザベス・シドニー管弦楽団も特にどうということのない演奏。ちょっと時間の無駄をしたなと思って、実は途中で見るのをやめた。

 

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ベッリーニ「ノルマ」 2007年 マチェラータ音楽祭

 ノルマを歌うディミトラ・テオドッシュウとアダルジーザを歌うダニエラ・バルチェッローナがやはり素晴らしい。声のコントロールもさることながら、その存在感たるやすさまじい。イタリアオペラは、主役格の歌手がずば抜けていたら、それだけで満足する。ポリオーネを歌うカルロ・ヴェントレも健闘しているが、二人の女性には歯が立たない。

演出はマッシモ・ガスパロン。異教徒たちは卍印の入った仏教の袈裟のような赤い着物を着ている。西洋人からみると秘教的に見えるだろう。特に際立った解釈はないが、楽しめる。パオロ・アッリヴァベーニの指揮によるマルケ地方財団管弦楽団もしっかりとした音を出している。全体的に素晴らしい上演だと思う。

 

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ベッリーニ「カプレーティとモンテッキ」 2015年 チューリッヒ歌劇場

 これは凄い。稀に見る名演だと思う。すべての歌手がそれぞれの役で現代最高だといって間違いないだろう。ロメオとジュリエットの物語だが、二人の主役が圧倒的に素晴らしい。ロメオのジョイス・ディドナートは男役にぴったりの強い声で、表現も豊か。ジュリエッタのオルガ・クルチンスカは透明な美しい声。二重唱はうっとりする。テバルドのバンジャマン・ベルネームも二人に劣らない美声。文句なしの三人。ロレンツォのロベルト・ロレンツィもカペッリオのアレクセイ・ボトナルチュークも見事。

 それにもまして、ファビオ・ルイージの指揮が引き締まっていながらも、実に雄弁でドラマティック。ベッリーニのオーケストレーションにはかなり難があると思うが、ルイージの指揮で聴くと、それがあまり気にならない。どういう仕掛けがあるのかよくわからないが。

 演出はクリストフ・ロイ。死を暗示する(?)黙役が二人の主人公に寄り添って、二人の激しい愛を冷ややかに見つめる。「異化効果」を感じて音楽に没入できなくなるので、少々邪魔に思った。しかし、確かにこのオペラには死の影が付きまとうので、それはそれで一つの演出のあり方ではあるだろう。

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