« 中国・広州への研修旅行に同行 | トップページ | オペラ映像「ロアン家のマリア」「ミカド」「ノルマ」「カプレーティとモンテッキ」 »

広州で気づいたこと

まだ頭の中で、中国・広州の6日間が渦巻いている。滞在して気づいたことを書く。

・よく言われるが、中国のもてなしの文化に圧倒された。多くの方が最大限の歓迎の意を表してくれる。ご馳走してくれ、酒を注いでくれ、お土産を持たしてくれ、細かいところまで世話を焼いてくれる。まさしく徹底的なおもてなし文化だと思った。客人として招かれているほうとしては大変気分がよい。が、逆の立場の場合、これに応じた返礼ができるかどうか、大いに心配だ。

・広州市は北京、上海につぐ中国第3の大都市だ。人口は1200万人。実際には地方から流入した人を加えて2000万人くらいではないかといわれているらしい。観光名所がないせいか、外国人らしい姿を見かけない。6日間、しかもかなりの時間、外を移動して、西洋人はほんの2、3人しか見かけなかった。大学構内でも西洋人を見たのは1人だけだった。空港でもほぼ全員が東洋系。まだ十分にグローバル化されていないということだろうか。

・交通マナーについてもいろいろと考えるところがあった。広州市ではオートバイが基本的に禁止されているとのこと。幹線道路は車であふれている。車は車線変更を頻繁に繰り返し、次々とすり抜けていく。車間距離も短い。中国での高速道路での車間距離は10メートル程度がふつうのようだ。私は一般道でもそれ以上空けている。日本では今でも「高速では100メートルあける」と自動車学校で教えているのだと思う。中国の高速道路には少々恐怖を覚える。

 交通マナーはその国の民度を表わすと思う。日本や欧米のマナーを守った運転とはだいぶ異なるので、やはりその点では民度が低いといえそうだ。とはいえ、オートバイがないためか、ベトナムやフィリピンよりはずっと整然としている。広州では自分で運転したいとは思わないが、命の危険を覚えてタクシーに乗ったり、横断歩道を渡ったりするほどではない。アジア全体としてはよいほうだろうとは思う。

・前に書いたが、オートバイが禁止されている。不思議なことだ。オートバイが増えればこの日常的な大渋滞を解消できるのではないかと思うのだが。煤煙対策なのだろうか。それよりも電気二輪車をふやすべきではないのか。電気自動車については日本よりも普及しているのかもしれない。私たちが使用していた観光バスは電気自動車だった。

・高層マンションが林立している。まさしく林立している。30階建て、もしかしたら40階建てくらいに見えるマンションが3棟、4棟並んでいるのは当たり前。10棟近くがひしめき合って建っているところもある。しかも、マンションとマンションの間は数メートルしかないように見える(実際にはもっと広いのだろうか??)。地震が来たら将棋倒しになりそうなのだが、地震は基本的にないという。しかし、日照権が問題にならないのか。日の当たらないマンションがたくさんありそう。

・広州の平均月収は日本の半分から3分の1程度だという。大卒の初任給が6万円程度らしい。それなのに、マンションは次々売れる。マンションは日本円にして数千万円するという。財経大学の先生や留学生たちみんなが「一体、だれが買えるんでしょう。不思議だけど、どんどん売れている」と語っていた。車もそれなりの高額なものが多い。中国者などは日本よりも安いらしいが、それでも大差ないとのこと。一部に儲けている人がいて、その人たちが牽引して広州が豊かになっている。良くも悪くも、そういうことらしい。

・多摩大生14人とともに広州を訪れたわけだが、一人が盗難にあった。リュックの中に財布を入れて背負っていたら、後ろのカバーを開かれて財布を取られたとのこと。幸いクレジットカードは盗まれなかったようだが、文無しになって困った様子(家に帰るまでの3000円は私が貸した)だった。もっと用心するように口を酸っぱくして注意しておくべきだった! もう一人は財布を店に置き忘れてすぐに戻ったところ、盗まれていなかったという。財布とは思えない形とデザインだったせいかもしれないが、中国ではすぐに盗まれるというのは事実ではなさそう。もちろん、私は被害なし。

治安は特に悪いわけではない。日本の外に出ればこんなものと思ったほうがよい。イタリアやフランスはもっとスリが多い。日本人に対する悪感情も感じなかった。街中で日本人だとわかっても、むしろ親切にされることはあっても、邪険にされることはなかった。

・今回はずっと中国語のできる人(多摩大の同僚、財経大の先生方、財経大の日本語学科の学生)がついていてくれたので特に問題がなかったが、個人で広州を旅できるかとなると少々不安がある。が、案内される場所でなく、自分で歩き、自分で物を買い、自分で料理を注文したい気持ちがある。機会があったら挑戦してみたい。少しずつ慣らしていきたい。ただし、これから中国語を多少なりと使えるようになるのは難しそう・・・。

 

|

« 中国・広州への研修旅行に同行 | トップページ | オペラ映像「ロアン家のマリア」「ミカド」「ノルマ」「カプレーティとモンテッキ」 »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

樋口先生
先日は、思わぬかたちでご連絡ありがとうございました。

中国は、治安があまりよくないというイメージが強かったですが、
どうもそうではないみたいですね。
ですが、大学生がスリにあったというのは、心配ですね。
これを考えると、日本がどれくらい平和なのか、よくわかります。
普通に歩いていて、犯罪に巻き込まれることは、あまりないでしょうから。

また、中国は面子を大切にすると聞いたことがありますが、
客人に対するもてなしは、最たるものなのでしょう。
大切な人には、しっかりしたおもてなしをする。
日本も東京オリンピックがどんどん近づいていますから、
負けられませんね。

あやの

投稿: あやの | 2016年9月21日 (水) 19時03分

あやの 様
コメント、ありがとうございます。
中国の躍進たるや、想像を絶するものでした。巨大な人口を持つ国が総力を挙げてトップダウンで何事かをしようとすると、大変な力を持つことになります。あまりにありきたりですが、「これからうまく付き合って、共存共栄を考えるしかないな」と痛感したのでした。

投稿: 樋口裕一 | 2016年9月22日 (木) 21時56分

樋口先生

一昔前は、中国といえば人民服を着て自転車を乗っているイメージがありましたが、現在は先進国家のように自動車が走っている姿を見て、
どんどん国力が強まっているなあと思います。

領土問題などでお互いの意見が相容れない国ではありますが、
できるだけ両者の納得できる解決法を見つけ続け、
先生のおっしゃるように「共存共栄」を目指していきたいものですね。

中国といえば、私は中学時代に三国志にハマっていたので、
いつか武将ゆかりの地をめぐってみたいと考えています。

投稿: あやの | 2016年9月23日 (金) 18時17分

樋口先生
追記です。

中国と同じ共産主義国家であるキューバと日本が、
今後連携を深めていくそうですね。
他の共産主義国家とは違い、「明るい」国だといわれていますが、
今後、両国がどのように歩んでいくのか注目です。

追記失礼しました。

投稿: あやの | 2016年9月23日 (金) 19時23分

あやの 様
コメント、ありがとうございます。
私は子どものころからかなりの読書家で、「西遊記」「金瓶梅」なども読んでいるのですが、「三国志」は途中で放棄したままになっています。「三国志」好きには、ゆかりの土地周りはきっと楽しいでしょうね。
中国の行動には、あまりに非常識なものもたくさんありますが、なんとか国際ルールの中で議論できるようにして行く必要があると思います。なかなか難しいことだと思いますが。

投稿: 樋口裕一 | 2016年9月26日 (月) 08時11分

樋口先生

西遊記は読んだことがありますが、金瓶梅という作品は初めて耳にしました。
また少し、調べてみます。

それぞれの作品ゆかりの地を巡り、物思いにふけってみるのは、とても贅沢な時間だなと思います。

中国は、国としての意識をもうワンランク、ツーランク上げる必要があると感じますね。国民一人一人はたとえ親しみやすいとしても、表に見えるものがよくないと、全体としてはマイナスとして見られると思いますので。
先生のおっしゃる通り、国際ルールにのっとり、「普通な」会話ができることを祈っております。

投稿: あやの | 2016年9月27日 (火) 20時55分

あやの 様
コメント、ありがとうございます。
「西遊記」「金瓶梅」「紅楼夢」は岩波文庫で出ています。私はかつてどれも夢中になって読みました。どれも長いので大変ですが、引き込まれてしまったのを覚えています。
きっと中国はすさまじい勢いで文明化し、すぐにマナーを身に着けるようになると思います。それが政治にどのように反映されるか、国際世界と寄り添う形になるのか。日本人にとっても大きな問題になるでしょうね。

投稿: 樋口裕一 | 2016年9月30日 (金) 09時40分

樋口先生
お返事、ありがとうございます。

なるほど、岩波文庫で出ているのですね。
情報、ありがとうございます。

紅楼夢というと、某パソコンゲームのイベントの名称にも入っているので、ビビッとくるものがありました。
長い作品でも、その世界に引き込まれると、あっという間に読んでしまいますね。私も似たような経験があります。

中国は、いわゆる「うわべだけ」で奥行きがない行動ではなく、心から相手を思いやることができるようになれば、国際的な評価もグッと上がるはずですね。
少しでも早くそうなれば、日本としても大きく心強いパートナーになることは、間違いないでしょう。

投稿: あやの | 2016年10月 1日 (土) 20時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/532807/64220371

この記事へのトラックバック一覧です: 広州で気づいたこと:

« 中国・広州への研修旅行に同行 | トップページ | オペラ映像「ロアン家のマリア」「ミカド」「ノルマ」「カプレーティとモンテッキ」 »