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東フィル定期 マスカーニ「イリス」演奏会形式 最後の合唱に魂が震えた

 20161016日、オーチャードホールで東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会、マスカーニ「イリス」(演奏会形式)をきいた。素晴らしかった。昨日のマリインスキー・オペラの「エフゲニー・オネーギン」と劣らぬほど感動した。

 指揮はアンドレア・バッティストーニ。噂に聞いていたし、「セビーリャの理髪師」のDVDで凄さを知っていたが、確かにドラマティックで繊細で音が生き生きしていて素晴らしい。東フィルも見事。よく鳴っていたし、精妙な音もしっかりと出していた。ホール全体を揺るがすような音も決して濁らず、美しく響いていた。

 歌手陣もとても良かった。イリスを歌うラケーレ・スターニシは、とても美しい声で、しかもかなり強靭。容姿にも声にも色気があってなかなかよろしい。大阪を歌うフランチェスコ・アニーレもしっかりした美声。大阪は若旦那という設定なので、そのわりにはかなり年配だが、ともあれ演奏会形式なので、そこはよしとしよう。イタリアにはこのような素晴らしい歌手がたくさんいるのだろうか。層の厚さに驚いてしまう。チェーコの妻屋秀和、京都の町英和、ディーアの鷲尾麻衣、くず拾い・行商人の伊達英二などの日本人歌手も見事な歌だった。新国立劇場合唱団も素晴らしい。

 世界でもこのレベルの演奏はなかなかないのではないか。最後の「太陽賛歌」の合唱では感動に震えた。

「イリス」をマスカーニが発表したのは1898年。「蝶々夫人」の5年前だという。ジャポニスムがヨーロッパに広まった時期だ。登場人物の名前が「大阪」だったり「京都」だったり、娘が吉原に行ったと知った時の父親の反応など、日本についての知識不足を感じさせる部分がたくさんあるし、「蝶々夫人」と違って、日本的な音階も登場しない。音楽だけ聞くと、ときどき「オーサカ」だの「キョート」「ヨシワラ」だのといった音が聞こえるだけで、だれも日本の話とは思わないだろう。

だが、セリフを読むと、当時、ヨーロッパで日本が「エロスの国」「太陽の国」と思われていたことがよくわかる。最後の合唱で歌われる「万物を愛す」という思想は、ヨーロッパの人には目新しいものだったに違いない。そして、それが生命賛歌、太陽賛歌に結び付き、それがエロスともつながっていたのだろう。以前、あれこれとわかりにくいところがあったので、難のある台本だと思ったのだったが、なかなか魅力ある台本だと思った。しかも、それをマスカーニはとてもうまく音楽にしている。

二日続けて、大変満足した。それにしても、今年の秋はオペラ公演が目白押し。幸先がよくて楽しみだ。

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