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新国立劇場「ワルキューレ」をみている間に起こった椅子の騒音のこと

 昨日(2016108日)、新国立劇場「ワルキューレ」公演の感想を書いた。昨日の出来事で書き忘れていたことがあったので、ここに書く。

実は、「ワルキューレ」の第1幕を見ている間、私の座る椅子がときどきキュッキュッという音を立てていた。身動きしなければ音はしないのだが、背もたせに体重をかけた後に、少し体を離すと音がする。私自身も気になるが、私が原因で周囲に騒音をまき散らしているとなると、あまりに申し訳ない。だからといってまったく身動きしないでいるのもつらい。

第一幕が終わった後に係の方にそのことを告げた。すると、早速、調べに来てくれて、私の言うことに間違いがないことを確認すると、これまたすぐに工具を持った作業の方たちがやってきた。そして、背もたせを外し、内部のねじを締めた。それだけで音は鳴らなくなった。私が係の人に告げてから解決までに10分ほどしかかかっていないと思う。

まず、さすがの迅速な対応にびっくり。日本の施設の対応力は見事。また、ねじが少し緩んだだけで音が出るという因果関係にも、素人の私としては驚いた。

もう一つ思ったのは、音を立てているのが私だから一幕だけで損害は済んだが、もう少し音に鈍感な人や、もう少し気の弱い人の席だったら、そのままになってしまったのではないかということだ。あのような場で、椅子が音を立てるといって係員に話をするのは、どちらかというと少数派であって、日本人の半数以上は黙ってそのままにするのではないか。係員に何も言わずにそのまま座り続けたら、たとえ本人は気にならなくても、周囲には必ず気になる人がいただろう。

このような場合、できるだけ注意しあうべきだと私は思う。昨日のような場合も、もし私が気にかけていない様子だったら、周囲の人が、「あのう。申し訳ありませんけれど、あなたが身動きするたびに椅子が音を立てているのが、気になって仕方がないんです。係の人に見してもらうように頼んでみてよろしいでしょうか」などとはっきり言うべきなのだ。

よく、「隣の人が指揮の真似をしていて気になった」とか「隣の人がしゃべっていて気になった」という人がいる。気になったのなら、きちんと注意するべきだと思う。ガラの悪そうな人だと確かに注意すると余計に危険になるので、お互いのために黙っているほうがよいとは思うが、少なくともクラシック音楽のコンサートにはそのような人は少ないだろう。本人も自分が騒音の原因になっていると気づいていない場合が多いので、やんわりと、しっかりと気を使いながら注意すれば、わかってもらえると思う。

このブログにも書いたが、私は何度も周囲の人に注意したし、私自身も上着のポケットに入れたプログラムがこすれて音がすることや身動きすることで注意されたことがある。もちろん私はその場で深くお詫びし、そうしないように改めた。私が注意した人も、もちろん自ら改めてくれた(ただ、一度、ベルリンでイギリス人女性に英語で注意した時は、おそらく私の英語力不足のために、相手を怒らせてしまった! 外国人に注意をするのは難しい!)。

 しかし、昨日はさすがにマナーのよい客ばかりだったように思う。音楽が完全に途切れるまで拍手はなかった。素晴らしい演奏とすばらしい観客だった。・・・ただ私自身は、「ツボにはまらずに」あまり感動できなかったが。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

樋口先生

日本人は、私を含め事なかれ主義というか、少し気になったことから始まり明らかなマナー違反の行為でさえも、時間が解決してくれると思っているふうがありますね。
個人的なことをいえば、困っているように見える人や、ちょっとした空間で一緒になった人には積極的に話しかけるように心がけてはいますが、やはり難しいですね。
アメリカ人などヨーロッパ圏の人はかなりフランクに話しかけるらしいので、何が違うのかと考えてみたところ、日ごろの行動の部分が多いのでしょうね。訓練といってもいいかもしれません。
今回の先生の記事をうけて、私もより積極的に、行動を起こしていきたいと改めて考えさせられました。

投稿: あやの | 2016年10月11日 (火) 21時39分

あやの 様
コメント、ありがとうございます。
おっしゃる通り、現在の日本人は本当に事なかれ主義ですね。人と接触しようとせず、見ないふり、知らないふりをしてしまいます。
私も実はとても引っ込み思案で内向的なのですが、せめて自分や周囲の人に迷惑がかかるときには、はっきりと意見を表明しようと心がけています。
ところで、あやのさんのブログを拝見いたしました。書くことの楽しさにあふれていますね。今後を楽しみにしています。

投稿: 樋口裕一 | 2016年10月12日 (水) 08時32分

樋口先生
お返事ありがとうございます。

積極的な行動というと、ぱっと頭に浮かんだのが学生時代のことです。
駅でおばあさんが重たそうな荷物をもって階段を上がろうとしていたので、勇気を出して「お持ちしましょうか?」と声をかけてみたところ、にっこりと笑ってお礼を言ってくれたのが、とても嬉しく思えました。

樋口先生にブログをご覧いただけるとは、とても嬉しい反面緊張いたします(笑)
実は、最近はツイッターでも好意的な感想をいただけることが多くなってきたので、励みになっています。
物書きの楽しさを感じだしたのは、中学生のころだったでしょうか。
そこに至る前には、小学校時代に数百冊本を読みましたので、読むだけでなく、考えて自分の考えを書いてみる頭の体操が、意外と身近にあったように思えます。
これからも、何より楽しく、わかりやすい記事を書いていきます。
ありがとうございました。

投稿: あやの | 2016年10月12日 (水) 18時08分

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