ブロムシュテット+バンベルク響 身体が痺れ、感動の涙が出た
2016年11月2日、サントリーホールで、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮、ベンベルク交響楽団のコンサートを聴いた。曲目は、前半に諏訪内晶子が加わって、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。後半にベートーヴェンの交響曲第5番。このところ、ずっとオペラばかりみていたが、久しぶりのオーケストラ。
ヴァイオリン協奏曲については、ブロムシュテットはかなり抑え気味に思えた。諏訪内晶子のヴァイオリンは美しい音を紡ぎだして素晴らしい。ただ、私としては、後半の「運命」のほうにずっとひかれた。バンベルク響も全力で指揮に応えているのがよくわかる。
バンベルク響は、昔々、カイルベルトが指揮していたころのような田舎臭い音ではなく、もっとずっとクリア。溌剌として生き生きとして、音の一つ一つが実に美しい。ブロムシュテットは特に目立つことはしていないように聞こえるが、どの音も理にかなっている感じがする。すべてがバランスよく、すべての音に納得する。弛緩するところはまったくなく、自然に音が流れる。そうでありながら、要所要所で感動に導く。すごい! すべての楽章が素晴らしかったが、私は、やはり第四楽章の最後の5分間くらいに言葉をなくすくらい圧倒されていた。
アンコールは「エグモント序曲」。これも最初から最後まで言葉をなくす凄さ。これほど明瞭にクリアに明るい音で展開されながら、英雄の悲痛な思い、ドラマティックな人生が伝わってくる。エグモントの死後の最終部分のまさしく「苦悩の後の勝利」の場面の躍動感は見事。50年以上前、大好きな曲の一つとしてしばしばレコードを聴いていたこの曲を久しぶりに聴いて、心の底から揺すぶられた。身体が痺れ、感動の涙が出てきた。
ブロムシュテットは今年89歳になるという。一体、この人はどうなっているんだ?? まったく老いを感じさせない若々しい音楽。これまで聴いてきた巨匠たちは、晩年、テンポが遅くなり、重厚になっていったが、ブロムシュテットはまったくそんなことがない。驚異の巨匠としか言いようがない。感動をかみしめながら自宅に帰った。
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コメント
こんにちは
3日の公演を聴きました。前半の未完成も、抑え気味に思えましたが、せつせつとシューベルトが語られていました。
田園、アンコールエグモント序曲には同様に涙がでて美しい音に感動しました。
投稿: K.Kurihara | 2016年11月 4日 (金) 08時51分
K.Kurihara様
コメント、ありがとうございます。そうですか、3日も「エグモント序曲」だったんですね。私が聴いた時と同じような至高の演奏だったことと思います。「未完成」と「田園」はいずれも大好きな曲というわけではないのでパスしたのですが、やはり聴けばよかった・・・と後悔しています。きっと素晴らしかったでしょうね!
投稿: 樋口裕一 | 2016年11月 4日 (金) 23時13分