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ブロムシュテット+N響の素晴らしい「第九」

 2016年12月24日、HHKホールでヘルベルト・ブロムシュテット指揮、NHK交響楽団によるベートーヴェンの交響曲第9番を聴いた。素晴らしい演奏だった。

 第一楽章の開始の音ははっとするほどデモーニッシュだと思った。暗くてよどんど音ではない。全体的にはブロムシュテットらしい、明るめの音でかなり快速の第九だが、冒頭だけでなく、ところどころでデモーニッシュな響きが支配的になる。何事か起こりそうな、なにか魔的なものが潜んでいそうな音。その部分に少なくとも私は非常に説得力を覚える。高齢を感じさせない見事な構築力。すごいと思った。

第二楽章も躍動にあふれ、きわめてダイナミック。音そのものはあまり大きくない(もしかしたら、NHKホールのために十分に響かないのかもしれない)のだが、十分に心の奥に響き渡る。第三楽章の美しさにはとりわけ圧倒された。ここもどちらかというと早めのテンポであり、大げさに歌わせるようなことはしないのだが、間の取り方、音につなぎ方があまりに美しい。

 第四楽章も見事。歌手陣もそろっていた。バスのパク・ジョンミンは堂々たる歌いっぷり。この曲にふさわしい。ソプラノのシモーナ・シャトゥロヴァ、メゾ・ソプラノのエリーザベト・クールマンも最高の歌を披露してくれた。ただ、テノールのホエル・プリエトはきれいな声だが、ほかの三人に比べて少し線の細さを感じた。合唱は東京オペラシンガーズ。ブロムシュテットの意図をくんだのだろうか。あまり大げさに大音響で歌うのではなく、しっかりした歌唱。

本日の演奏で、唯一納得できなかったのはテノール・ソロの部分だった。ピッコロがまるで歌を邪魔するかのように大きな音で鳴っていたが、そこにどんな意図があったのだろう。あまり声の大きくないテノールなのだから、もう少しピッコロは音を抑えるべきだったのではないか。

とはいえ、全体的には、スケールこそ大きくないが、きりりと引き締まり、細部に至るまで神経が行き届き、祭典感覚にあふれた素晴らしい演奏だった。

実はしばらく前から風邪に苦しんでいた。ムジカーザで石田泰尚さんのリサイタルを聴いた時も、まだ熱が下がらずにいた。狭いホールで咳をしたら演奏そのものを台無しにしてしまうと思って必死の思いで我慢していた。昨日、やっと平熱に戻って、今日は心地よく第九を聴けた。満足。気持ちよく新年を迎えられそうだ。

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