« 2017年になった | トップページ | 1月16日(月) 石田泰尚・山本裕康・諸田由里子のコンサート迫る!  »

ユリアン・プレガルディエンと鈴木優人の若い演奏家の素晴らしい「冬の旅」、そして小川えみのチャイコフスキー

 今日、201719日、成蹊学園本館大講堂(武蔵野文化事業団主催によるコンサート)でユリアン・プレガルディエン(テノール)と鈴木優人(フォルテピアノ)による「冬の旅」を聴いた。鈴木雅明の息子とクリストフ・プレガルディエンの息子の、いわば二世演奏家による演奏。優秀なDNAは間違いなく受け継がれている。本当に素晴らしい。

 ふだん聴きなれた「冬の旅」とずいぶん異なる。伴奏がフォルテピアノだということだけでも異なるが、歌の部分も様々な装飾音が入っている。どのような考証に基づくのか知らないが、この二人が演奏しているのだから、きっと時代的な裏付けがあるのだろう。

 ユリアン・プレガルディエンの声が実に美しい。正確な音程と深みのある表現。小さな声の使い方が見事。語りかけるように歌う。そして、時に感情が盛り上がる。そのメリハリがとても自然でわざとらしさがない。1984年生まれだというから、まだ30歳そこそこ。それなのにこれだけ完成された音楽を持っているのは驚異的だと思う。

 鈴木のフォルテピアノもとてもよかった。「辻音楽師」の繰り返しあらわれる和音の鮮烈さに驚いた。フォルテピアノで演奏すると、このように聞こえるのだろうか。聞きなれたピアノの音と違って、魂をえぐるような生の激しい音。全体的に鈴木のフォルテピアノは楽器の特性として音の響きに弱点があるが、その分、余計に鋭くて、しかも繊細。「冬の旅」にぴったりの楽器だと思った。

 今日は成人の日だった。30代前半の二人の素晴らしい演奏家を聴いて、とてもうれしくなった。この二人の未来が楽しみだ。きっとこれから時代を画す仕事をしてくれるだろうと思う。

 時間的に前後するが、昨日(2017年1月8日)、杉並公会堂小ホールで、小川えみ ソプラノリサイタルを聴いた。なんと午前10時開演。

 チャイコフスキーの歌曲が演奏されることをどこかで配布されたチラシを見て、しかもyoutubeにアップされた小川さんのリサイタルの歌声がきれいなので興味を持った。曲目は前半にチャイコフスキーの歌曲「この月の夜に」「カナリヤ」「かくも早く忘れるとは」「君よ信ずるな」「ふぁ歌旅元のように孤独で」、後半は、「イオランタ」「スペードの女王」「エウゲニ・オネーギン」からのアリア。どうも内輪のリサイタルのような雰囲気。ちょっと場違いなところに入ってしまったかと思った。

 小川さんの声は不安定なところもがあるが、全体的にはとてもきれい。とりわけ、後半になって声が伸びた。小川さんのプロフィールをみると、「ルイジ・ダル・フィオール神父のドルチェカント歌唱法だという。

 ただ、どうも私にはロシア語に聞こえない。カタカナに聞こえる。もちろん私はロシア語をまったく話せないので、断定的なことは言えないが、CDやDVDで聴くチャイコフスキーの歌曲やオペラと音の雰囲気が異なる。どうしても日本語っぽくなってのっぺりしてしまう。そのためなのか、チャイコフスキー特有の憂いやくぐもった哀愁が聞こえてこない。歌曲というのは詩の延長なので、言葉そのものの美しさを表現してほしいのだが、その点で不満を感じた。とはいえ、プログラム最後のレンスキーのアリア(もちろん女性がこのアリアを歌うのを初めて聴いた!)、そしてアンコールの「ただ憧れを知るものだけが」「なぜ」はとてもよかった。

|

« 2017年になった | トップページ | 1月16日(月) 石田泰尚・山本裕康・諸田由里子のコンサート迫る!  »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/532807/64743160

この記事へのトラックバック一覧です: ユリアン・プレガルディエンと鈴木優人の若い演奏家の素晴らしい「冬の旅」、そして小川えみのチャイコフスキー:

« 2017年になった | トップページ | 1月16日(月) 石田泰尚・山本裕康・諸田由里子のコンサート迫る!  »