シモーネ・ラムスマ 凄まじいフランクのソナタ演奏!!
2017年2月8日武蔵野スイングホールで、シモーネ・ラムスマ ヴァイオリン・リサイタルを聴いた。武蔵野文化事業団主催のコンサート。私は新宿から向かったが、人身事故ということで、超満員の中、待ち時間を入れて武蔵境まで1時間近くかかった。
ラムスマはかなり若いオランダ出身の女性ヴァイオリニスト。もしかしたら20代? ピアノ伴奏は三浦友理枝。曲目は、前半にシューベルトのソナチネニ長調とメンデルスゾーンのヴァイオリン・ソナタ ヘ長調。後半にフランクのヴァイオリン・ソナタとラヴェルの「ツィガーヌ」。
シューベルトは準備体操という感じ。メンデルスゾーンであっと思った。鮮烈な音。スケールが大きく、大きな表情を語る。メンデルスゾーンのこのソナタ、あまりリサイタルで聴くことはないが、なかなかの名曲だと思った。
後半はまさしく圧巻。フランクのソナタが凄まじかった。私は何度か魂を震わせた。フランス的な演奏ではない。もっとおおらかでもっとスケールが大きい。大宇宙の前で弾き切るような雰囲気。音は美しく、大きく、伸びやか。第2楽章以降、ぐんぐんと盛り上がる。
「ツィガーヌ」も素晴らしい技巧と鮮烈な音。これもスケールが大きい。小さな世界に縮こまっているのではなく、大きく広がっていく感じがする。それが素晴らしい。
ピアノも実に素晴らしかった。音が美しいだけでなく、この人も大胆でダイナミック。若くてきれいな女性なのに、表現のスケールが大きい。ラムスマの伴奏にぴったり。フランクのソナタとツィガーヌはまさしく互角に渡り合ってすごい迫力。
アンコールはパラディスの「シシリエンヌ」とガーシュインの「ポギーとベス」より。これもなかなか。
メンデルスゾーンのソナタの第一楽章の終わりでラムスマが演奏を中断し、客席からのイヤホンステレオの音漏れを注意した。私も変な音が混じっているのには気づいていた。それでいちおう雑音はなくなったようだが、このようなマナー違反は実に残念。しかも、フランクの名演奏の最中も、私のすぐ後ろで、買い物袋を膝の上においてずっとカサカサ音を立てている人がいた。演奏中ずっとガムを噛んでいる人、手を盛んに動かす人もすぐ近くにいて閉口した。武蔵野文化事業団のコンサートは特にマナーが悪いというわけではないと思うが、今日は少々気になった。
とはいえ、これほど演奏が素晴らしいと、そのような雑音など気にならなくなる。ただ、会場が狭いせいか、凄まじい演奏のわりには拍手喝采はおとなしめだったように思う。もっと熱狂的になるのかと思っていた。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- METライブビューイング「ドン・カルロス」 フランス語版の凄味を感じた(2022.05.17)
- バーエワ&ヤノフスキ&N響 苦手な曲に感動!(2022.05.14)
- Youtube出演のこと、そしてオペラ映像「パルジファル」「シベリア」(2022.05.10)
- ヤノフスキ&N響 「運命」 感動で身体が震えた(2022.05.08)
- オペラ映像「イェヌーファ」「炎の天使」「魔弾の射手」(2022.05.01)
コメント