エジプトで感じたこと まとめ
2泊5日というごく短い期間の旅行でしかなかったので、エジプトを知ったうちには入らないが、ともあれ、旅行中に感じたことを記す。
空港はもちろん、ホテル、博物館、観光施設などほとんどのところで荷物検査を受けた。私の泊まっているホテルでは犬を連れた警備員が車の周りを回って確認が取れてから中に入れた。多分、爆薬検知犬なのだろう。ただ、だから安心・・・といえるかどうか。それほどきちんと機能しているようには見えない。顔見知りは検査を受けないで入っているようだ。私が参加したツアーでは、スタッフが空港の入国検査の前で私を待ち構えてくれてあれこれと便宜を図ってくれ、とてもありがたかったが、その人は空港職員ではなく、きっと業者の人間。セキュリティチェックはすべてフリーパスだった。そんな人がたくさんいるようだった。
ホテルはもちろんレストランでも米ドルでの支払いが求められた。もちろん、私はちょっと高額なツアーに参加し、それなりに一流のところで飲食したのだろうが、それにしてもふつうにドルが通用しているのにびっくり。ピラミッドの前に絵葉書やガイドブックや石で作ったピラミッドの置物を売る店や人がいるが、そこでも、「全部で一ドル」と話しかけてくる。
1万円を入国の際にエジプト・ポンドに両替していた。ほとんどがツアー料金に含まれていたので、かなり余った。そこで、帰りのカイロ空港でエジプト・ポンドをできれば円に、無理なら米ドルに両替するつもりでいた。両替所が見つからないのでインフォメーションの男性に聞いてみたら、「ここにはバンクはない」という返事。国際空港に両替できるところがないはずがない、そもそも入国するときポンドに替えたのだからと思って食い下がっていたら、その係官は英語のたどたどしい私をバカにしたように呆れた様子で「ユー・ドント・アンダスタンド・ミー?」といった。空港などあるわけがないとでも言いたげ。その後も探してみたが、やはり両替できそうなところはなかった。
結局、カタールの空港で両替した。
最後の日には多くの日本人客に出会った。私の泊まるホテルでも、日本語があちこちで聴かれた。昼間いったレストランでも日本人の団体が二ついた。グループの多くが高齢者。それに対して、中国人客はもっとずっと若い。小学生、中学生に見える中国人客もいた。西洋人は数人できている客が多い。全体的には中国人の数が圧倒的だろう。
エジプトの経済はかなり深刻そう。エジプト革命の後、政治的にも混乱し、経済的にもうまくいっていないと伝えられているが、それは十分に感じられた。
もちろん、行くところに行けば繁栄は見られたのだろうが、ピラミッドが観光の中心なので、どうしても経済的に恵まれていない地区を回ることになる。だからこそ、真実が見えてくるともいえるだろう。寂れた町、活気のない店が目に入った。
女性はふつうに働いている。働かなければ生活できないというが、女性の労働が制限されている様子はなく、男女はほとんど平等に口をきいているのがよくわかる。
ガイドさんによると、公務員は12時までの仕事だという。多くの人を雇用としているが、給料が安いために、公務員の多くがアルバイトをしているという。まあ、言ってみればワークシェアリングを実施しているということだろう。
拡声器によるコーランの声がしばしば聞こえたが、特にお祈りをしているところは見られなかった。エジプト人はそれほど信仰心は強くないようだ。アルコールも手に入るし、アルコールを飲むイスラム教徒もいるという。
客が一人きりのツアーはそれなりにきつい。カイロ大学を出たというとても知的で配慮の行き届いた女性のガイドさんだったので、ガイドさんに不満はない。ただお土産物屋に連れていかれる。一人だから間が持たない。ひどい音楽を聴かされる。一人だから、ちょっと紛れてどこかで時間をつぶすことができない。数人が参加しているツアーであれば、一人くらい変な人間がいても許されるが、一人きりだとそうもいかない。もちろん、客が一人だからといって、ツアーとして計画されている場所を変えるわけにもいかないのだろう。
当たり前のことだが、ツアーは一長一短だと思った。
カタール航空を使ったので、ドーハ空港には行きと帰りのかなりの長時間滞在した。帰りはとりわけ、カイロから到着したのが23時、日本への出発が翌日の3時20分なので、長かった。深夜の中東の空港なので閑散としているかと思ったら、とんでもない。ずっと昼間と変わらない賑わい。飛行機も5分、10分おきくらいに出発している。飛行機もいいし、CAもみんな感じがいいし、機内食もとてもおいしかった。またカタール航空を使いたくなった。
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コメント
お疲れ様でした!無事にお帰りで何よりです。毎回楽しんで読ませていただきました。旅の醍醐味はカルチャーショックにあるかもしれないと、前から思っておりましたが、今回の旅日記を読ませていただいて、またそう思いました。そういう私は、今はヨーロッパばかりですが、もう40年位前に初めて外国に行ったときには、アフリカのマラウィという国に行きました。パキスタン航空を使った一人旅でした。ストレスでクタクタになりましたが、今ではよい思い出です。
投稿: Eno | 2017年2月17日 (金) 21時59分
樋口先生
エジプトに行かれていたのですね。
私にとってエジプトというと、学生時代に文化について触れた程度でしたので、今回の先生の記事を拝読し、現在の情勢について少し理解を深めることができました。
現在は、エジプトを初めとして、中東地域の情勢がとても不安定ですので、今後、世界にどのように影響があるのか不安です。
パッと思いつくのは、やはり石油関係でしょうか。
私はというと、久しぶりにゆっくり読書をし、物書きができる時間に恵まれ、穏やかな時間が過ぎています。
もっとも、いつまで続くのかはわかりませんが……。
そろそろ、春の兆しが見えてきました。
季節の変わり目は何かと体調管理が難しいですから、どうぞお気をつけて。
投稿: あやの | 2017年2月18日 (土) 18時19分
Eno様
コメント、ありがとうございます。おっしゃる通り、旅の醍醐味はカルチャーショックだと思いますが、エジプト旅行はまさしくショックの連続でした。私はアフリカ大陸に足を踏み入れたのは、今回が初めてだったのですが、足が動くうちに中央アフリカへの踏み出したいと考えています。
ところで、ブログを拝見しました。鈴木雅明・シティフィルいらしてたんですね。私はベートーヴェンについては納得できませんでした。とりわけ第三楽章以降、音が団子状になっているのを感じました。ヤルヴィ+N響のシベリウスはきっとすばらしかったのでしょうね。
投稿: | 2017年2月19日 (日) 23時16分
あやの 様
コメント、ありがとうございます。ピラミッドにつきましては、一生に一度は見る価値があると思います。ご覧になることを勧めます。私は、これを機会に中東旅行をそのうちにしたいと思い始めました。
投稿: 樋口裕一 | 2017年2月23日 (木) 08時14分