エリシュカ+札響のブラームス 感動に震えた
2017年3月14日、東京芸術劇場で札幌交響楽団東京公演を聴いた。指揮はラドミル・エリシュカ・曲目は、前半にメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」とシューベルトの交響曲第5番、後半にブラームスの交響曲第1番。
エリシュカは大好きな指揮者の一人だ。以前から札響との名演奏の様子を伝え聞いていたが、2010年に東京フィルとの演奏による「新世界」を聴いて驚嘆。それ以来、東京公演はできるだけ聴くことにしている。今回も予想にたがわぬ素晴らしい演奏。何度も何度も感動した。
きわめてオーソドックスな解釈だと思う。遅めのテンポでじっくりとしっかりと鳴らしていく。地に着いた音。本物だけが持つ響きとでもいうか。札響の音も実に美しい。弦楽器も美しいし、オーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットがとてもいい。あわてず騒がずに音楽が展開され、渋くてロマンティックで暖かくて芯の強い響きが広がっていく。
「フィンガルの洞窟」が始まった時、あまりにじっくりとした足取りだったので、メンデルスゾーンらしくなかった。エリシュカのメンデルスゾーンを聞くのは初めてだったので、もしかしたらエリシュカはメンデルスゾーンには向いていないのかと思った。だが、聴き進むうちに納得する。地道でしっかりした足取りのメンデルスゾーンがあってもいい。これも確かにメンデルスゾーンだと思える。タメを作ってスケール大きく演奏するが、それがこけおどしに聞こえない。シューベルトの第5番も一歩一歩確かめるような演奏。確かに若々しさはないが心に染み入る。
やはりブラームスが圧倒的に素晴らしかった。スケールが大きく、広がりがある。ホルンから何度か妙な音が聞こえたのが気になったが、全体的には札響の音の美しさに改めて驚いた。しなやかで深い音。エリシュカの出したい音を出している。とりわけ第4楽章は圧巻。感動に震えた。
アンコールはドヴォルザークの「ユモレスク」。アンコールだからということだろう、表情を強調してメリハリをつけた演奏。だが、音がしっとりしているので、少しも大袈裟にならないところがさすが。
エリシュカは巨匠だと思う。本当に良い音楽を聴かせてもらった。
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