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幻の名歌手ティツィアーナ・ドゥカーティのソプラノに心を揺さぶられた

2017年4月2日、帝国ホテル・プラザでアフタヌーンオペラロビーコンサートを聴いた。ティツィアーナ・ドゥカーティのソプラノ、山口研生のピアノによって春にまつわる歌曲やオペラアリアが演奏された。

 ドゥカーティの第一声から圧倒された。最初の曲はトスティの「四月」。しなやかな美声。吸い込まれるような声の強弱。声量もあり、音程も完璧。素晴らしい歌手だ。次の曲「からたちの花」にも圧倒された。日本語の歌を見事な詩情で歌う。日本語の発音にはちょっとあやふやなところがあったが、それ以上に豊かな詩情がある。よく言われるような日本的な叙情ではない。だが、日本的な湿っぽさがないだけ、いっそう美しく、いっそう抒情的だ。うっとりした。

 トスティの歌曲「薔薇」も中田喜直作曲、加藤周一作詞の「さくら横丁」もよかったが、後半のサンサーンス作曲の「サムソンとデリラ」(きっと近いうちに「サンソンとダリラ」と呼ばれるようになるだろう)のアリア「私の心はあなたの声に花開く」に私は鳥肌が立つ感動を覚えた。メゾ・ソプラノで歌われるのはこれまで何度も聴いてきたが、ソプラノで歌われるのを聴いたのは初めてかもしれない。エロティシズムと清純さが交差して、ものすごい迫力。何度も魂がゆすぶられた。涙が出そうになった。

マスカーニの「友人フリッツ」のアリア「このわずかな花を」、ピエール・アドルフォ・ティリンデッリの「春よ」(この歌は初めて聴いた)も素晴らしく伸びる声で、最高に美しかった。アンコールは「アドリアーナ・ルクヴルール」のアリア。これも見事。

 ティツィアーナ・ドゥカーティはイタリアのトリノの出身。7つの国際コンクールで優勝し、将来を嘱望され、20年ほど前に来日し、現在、日本在住だという。私は日本在住の歌手がこれほど完成度の高い歌を歌うのを聴いたことがない。世界で大活躍するにふさわしい歌だと思う。いや、世界最高レベルの歌だと思う。容姿も美しい。まさに幻の名歌手。

 私が初めてドゥカーティの歌を聴いたのは昨年の10月だった。応援している人に薦められて半信半疑で聴きに行った。素晴らしい声だった。だが少し一本調子だと思った。だが、今日は違う。一本調子どころか、歌心があり、ドラマがあり、抒情があり、エロスがある。何度も心をゆすぶられた。

 終演後、ドゥカーティさんと少し話をした。私もこの世界的歌手の応援をしたいと心から思った。日本のオペラ界でぜひとも大活躍してほしい。

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