ウィーン・アカデミー管弦楽団 私には丁寧すぎるベートーヴェンだった
2017年4月20日、武蔵野市民文化会館リニューアルオープン記念特別公演、ウィーン・アカデミー管弦楽団のベートーヴェン交響曲全曲演奏の初日を聴いた。ピリオド楽器を使用するオーケストラだ。指揮は、このオーケストラの創設者であるマルティン・ハーゼンベック。曲目は前半に「田園」、後半に第7番。
それぞれの楽章が始まった時には、毎回はっと驚いた。とりわけ「田園」は素晴らしいと思った。しなやかで柔らかく歌にあふれている。古楽器の場合、ガサガサした感じになり、快速の音楽になりがちだが、このオケはゆっくりじっくり丁寧、そしてしなやかに音楽を作っていく。とりわけ第二楽章冒頭には息をのんだ。だが、そうは言いながら、実は私はどの楽章も曲が進むうちに少々退屈してしまった。
先ほど書いた通り、ゆっくりじっくり丁寧。ずっと同じ調子なので、一本調子に感じてしまう。部分を聴くと、どこを取っても素晴らしいのだが、続けて聴くと盛り上がりがなく、スリリングさが不足する。とりわけ「田園」は、素晴らしくしなやかで美しい演奏であるにもかかわらず、私は平板さを感じた。
第7番は、コンサートマスターが変更(第二ヴァイオリンの首席と交代した)になって音楽の雰囲気がずいぶん変わったせいで、しなやかさ、繊細さよりも勢いのよさが前面に出てきた。だが、やはり同じように私は一本調子を感じた。確かに第7番にふさわしくリズムが激しくなり、音も大きくなる。だが、どこを取っても同じ丁寧さ。どの楽器も同じ丁寧さ。どうも私としては音楽に乗れない。
アンコールは交響曲第4番の第2楽章。私は今日の演奏でアンコールに一番感動した。しなやかでニュアンスに富んでおり、退屈する前に終わった。
私が俗っぽすぎる人間なのかもしれないが、もうすこし音楽にも狂気の部分がほしいと思ってしまう。とりわけベートーヴェンには狂気がほしい。真面目で丁寧すぎるベートーヴェンだと思った。
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