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2017年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン初日(5月4日)

 2017年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンが始まった。私は、初期のころこの音楽祭の「アンバサダー」を仰せつかっていたため、2005年の最初の年から昨年まで、フランスのナントの本場のラ・フォル・ジュルネを含めて、有料のものだけで451のコンサートを聴いている。きっと日本一だと思う。今年も記録更新中。

 そんなわけで、今年の初日である5月4日も朝から6つのコンサートを聴いた。簡単に感想をまとめる。

 

・テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)、グザヴィエ・フィリップ(チェロ)、フランソワ=フレデリック・ギィ(ピアノ)、シンフォニア・ヴァルソヴィア、廖國敏(指揮)

メンデルスゾーン「夏の夜の夢」から 結婚行進曲、べートーヴェン ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲

 

 朝、945分からのコンサート。まだ、十分に目が覚めていない。聴いている側も演奏者も、そして楽器も。そのせいか、パッとしない演奏だった。オーケストラはきれいな音。弦はとてもしなやか。ソリストもさすが。私はとりわけパパヴラミのヴァイオリンに惹かれた。素晴らしい美音で、しかも勢いがある。ピアノのギィもきれいで知的。ただ、どうも盛り上がらない。指揮の廖がちょっと一本調子のせいかも。

 とはいえ、初日の最初のコンサートとしては、特に不満はない。

 

・ローザンヌ声楽アンサンブル、ダニエル・ロイス(指揮)

ブラームス「2つのモテット op.74」から 何ゆえ悩む者に光が与えられたのか、「愛の歌」 op.52、「運命の歌」 op.54

 

 初めはかなり不安定だったが、モテットの途中から、ぴたりと音が合い、ニュアンスも豊かになった。ローザンヌ声楽アンサンブルはやはり素晴らしい団体だと思う。「愛の歌」は、もしかしたら、録音も含めて初めて聴いたのかもしれない。ブラームスがヨハン・シュトラウス2世を高く評価していたことはよく知られているが、これはまさにヨハン・シュトラウスを連想させる。楽しい曲。「運命の歌」は特に素晴らしかった。

 

・ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ) グリーグ「4つのノルウェー舞曲」op.35、ヒンデミット 組曲「1922年」 op.26、ラヴェル「ラ・ヴァルス」

 

 初めは少しザツさを感じた。ベレゾフスキーはしばしば酔っ払って演奏すると聞いたことがあるが、まさにそんな感じ。ちょっと悪い予感がした。だが、ヒンデミットの途中から、まったくそのような雰囲気はなくなった。ラ・ヴァルスは圧巻。きわめて男性的な音。ワルツの流麗な流れではなく、ハガネのような音の塊。それがワルツのリズムによって命の塊を作ってゆく。アンコールもチャーミングにして壮大。ただ、ピアノ曲に疎い私は曲名はわからなかった。

 

 ・トリオ・エリオス ドヴォルザーク ピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」、ブラームス(モファット編) ハンガリー舞曲第1番、第6番

 

 このトリオを聴くのは初めてだと思う。2015年結成の若いトリオ。シャープな音。音程がよく、アンサンブルも完璧。ドヴォルザークがまるでシェーンベルクのように響く。ドヴォルザーク特有の郷愁のようなものはほとんどない。都会的で現代的。しかし、踊りのリズムはそれはそれで賑やかで猥雑に盛り上がる。私は大いに気に入った。ハンガリー舞曲もよかった。私は情緒的な演奏よりも、このようなシャープな演奏のほうが好きだ。あと少しこの団体の演奏を聴いてみたいと思った。

 

梁美沙(ヴァイオリン) J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番、イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5 op.27(曙光、田舎の踊り)

 

 イザイが始まるとばかり思っていたら、バッハが先に演奏されたのでびっくり。素晴らしい演奏だった。このヴァイオリニストは数年前から注目していた。躍動感があり、ヴィヴィッドな雰囲気がある。シャコンヌなどスケールが大きて、小柄な彼女の弓とともに私の魂も振り回されそうな気持ちになってくる。イザイも鮮烈。といいつつ。バッハのサラバンドまでは実はちょっと退屈だった。ジーグあたりからぐいぐい引きこまれた。私の体調のせいもあるのかもしれないが、、十分にバッハを自分のものにしていないのかもしれない。

 

 ・盛田麻央(ソプラノ)、下園理恵(メゾ・ソプラノ)、又吉秀樹(テノール)、与那城敬(バリトン)、東響コーラス(合唱)、シンフォニア・ヴァルソヴィア、廖國敏(指揮)

ベートーヴェン:交響曲第9

 

 廖の指揮に注目していた。若い東洋人なのに第一楽章はあまりにドイツの巨匠風なので驚いた。壮大に鳴らそうとしているようだ。昔、モノラル時代にレコードで聴き馴染んだスタイルの演奏。しかし、私としてはかなり好感を抱いた。大時代的とはいえ、私はこのような演奏が大好きだ。ただ、第2楽章、第3楽章はやはりオケを十分にコントロールできていないところが見受けられた。音が少しずれたり、団子状の音になったり。しかも一本調子になってきた。第4楽章も所々ひやひやするところがあった。が、とはいえ、スケール大きく人類の大賛歌を演奏しようとしているところは実に頼もしい。高揚感もなかなかいい。バリトンの与那城は、予定されていたガスパール・コロン体調不良のための代役だったが見事に歌い切った。今や日本を代表する、いや間違いなく日本一のバリトン歌手だと思う。そのほかの歌手もいいし、合唱も見事。

 第九を聴くとほかの曲を聴く気持ちがうせてしまったので、そのまま帰宅。ともあれ、充実した一日だった。

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