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感動的だった美濃吉の鯉濃汁、そして映画「人生タクシー」「娘よ!」

 昨日、2017523日、日帰りで京都。私が塾長を務めている白藍塾は京都産業大学付属中学校の小論文教育をサポートしている。その研修講師として訪れた。京都産業大学には、多摩大学に赴任する前の数年間、専任タイプの客員教授として籍を置いていた。マンションも用意して、週に2日、授業を担当していた。その関係で付属中学でも小論文指導を行うことになり、現在に至っている。先生方はとても優秀なのでスムーズに研修が終わった。

 夕食は新阪急ホテルの地下にある美濃吉でとった。私の贔屓の店。京都に行く機会があったら、よほどのことがない限り、一度はここで食事をとる。大好きなのは、「鴨川」という懐石料理。手ごろな値段ながら、実に充実している。私はとりわけ「京の白味噌仕立て」が最高においしいと思う。美濃吉は東京にもいくつか支店があるが、私は京都で食べるとまったく味が違うのを感じる。とりわけ、私は京都駅前の新阪急店が最もおいしいと思っている。

久しぶりだったせいか、いつも以上のおいしさを味わえた。白味噌仕立ても絶品だったし、「芋 玉ねぎ 湯葉あんかけ」もおいしかった。そして、昨日は、「鴨川」のほかに特別に「鯉濃汁」を注文した。今の時期にしか食べられないメニュだという。しかも、大分県日田市という山の中の育ちの私は子どものころから鯉は日常的に食べてきて、大の鯉好き。ただ、東京に住んでいると、鯉こくを食べる機会がほとんどない。この機会を逃すまいかと思って食した。白味噌味のまさしく絶品。京都の一流料理人が鯉を料理すると、これほど洗練されるのかと驚いた。臭みがなくなっているが、確かに鯉のうまみがしっかり出ている。

 あまりにおいしいので、もう一皿か二皿、何かを注文したくなったが、さすがに満腹になった。その後、すぐに新幹線で東京に戻った。

 ところで、美濃吉に行く前、京都シネマで映画を見た。研修が早めに終わったので、夕食までに時間があった。30度近い中を観光する元気がなかったので、京都シネマで時間の合う映画を見ることにした。イラン映画「人生タクシー」。監督はジャファル・パナヒ。

 予備知識がなかったので、初めはドキュメンタリー映画かと思った。監督がタクシー運転手になりすまして、客の様子を取っている映画だとばかり思った。実に自然な庶民のやりとり。演技しているとは思えない話しぶり。カメラは一切外に出ず、ずっとタクシー内に取り付けられたカメラで車内外を撮り続ける。そうこうするうち、イラン社会の抑圧的な状況、抑圧されながらそれなりに生きていくイランの人々の姿、その人間模様、そして人々の善意とエゴイズムと不思議なエネルギーが垣間見えてくる。

 徐々に疑いを抱き始めたが、中間くらいで、やっとこれは綿密に計算したうえでの映画だと気づいた。しかし、それにしても演出がすごい。とりわけ、運転手=パナヒ監督の姪の女の子の表情としゃべりには感服。実際のパナヒ監督の姪だというが、それにしても自然すぎる。この子だけは自由にしゃべっているのだろうか。

 パナヒ監督は反体制映画を作ったために映画製作を禁止されているという。この映画はその禁止をかいくぐって作られたらしい。そのため、イラン国内では上映されていない。その精神、才能、努力に感服。この監督のほかの映画も見たくなった。

 ところで、半月ほど前、岩波ホールで「娘よ」というパキスタン映画を見た。ブログに感想を書こうと思っていたが、仕事の忙しさ、そして私のスマホに起こった奇怪な現象に時間と気持ちを取られて、書くのを忘れていた。ここに簡単に感想を記す。

 とてもおもしろい映画だった。エンターテイメントとしてよくできている。部族抗争に巻き込まれたため10歳の少女ゼナブ(サーレハ・アーレフ)が敵の部族長である老人の妻にされることが決まる。娘の母親アッララキ(サミア・ムムターズ)は娘の運命に過去の自分を重ね合わせて、娘を連れて脱走を図る。その結果、敵の部族からも自分の家族からも追われて命を狙われることになってしまう。そこに過去のあるトラック運転手が通りかかって、混乱に巻き込まれるうちに、アッララキに恋心を抱くようになり、二人を助け始める。アッララキが殺され、夢想の中で自由に生きようとするところで映画は終わる。

 わけある女性の逃避に、ちょっとお調子者でありながらどこか影のある男性がかかわって助けていくうちに恋が芽生え・・・というよくあるタイプの映画。ただ、そこにパキスタンののっぴきならない家族関係、部族関係がからみ、美しい自然の風景が加わっているために、そこに強いリアリティが生じる。しかも、これは実話に基づくという。監督は女性のアフィア・ナサニエルだという。これだけのスケールで娯楽作としながらも、これだけパキスタン社会に肉薄できるのは素晴らしい。

 

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