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2017年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最終日

2017年5月6日、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭最終日の感想を簡単にまとめる。

 

・オリヴィエ・シャルリエ(ヴァイオリン)、豊嶋泰嗣(ヴィオラ)、アレクサンドル・クニャーゼフ(チェロ)、アレクセイ・ヴォロディン(ピアノ)

 ハイドン ピアノ三重奏曲第25番ト長調 「ジプシー・ロンド」、ブラームス ピアノ四重奏曲第1 ト短調 op.25

 

 ジプシーつながりの曲を二つ。ハイドンの曲は初めて聴いた。なかなかおもしろいが、クニャーゼフが手持ち無沙汰に見えたのは、気のせいか。ブラームスのほうは私の好きな曲の一つ。ただこれは終楽章に至るまで飽きずに聴かせるのはかなり難しい。急ごしらえのメンバーではどうしても推進力に欠ける。やはり、この名人たちも例外ではなかった。どのような音楽を作りたいのかよくわからなかった。

とはいえ、第4楽章は勢いに乗り、素晴らしかった。それでもまだ不満らしく、アンコールでまた第4楽章。凄まじい演奏。さすが。アンコールには興奮した。

 

・横坂源 (チェロ)
、藤井一興 (ピアノ) 

フランソワ・クープラン「演奏会用小品集」から プレリュード、シシリエンヌ、悪魔の歌    ヨハン・セバスティアン・バッハ ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第3 ト短調 BWV1029 チャイコフスキー「懐かしい土地の思い出」から「メロディ」 ドビュッシー チェロ・ソナタ

 今注目の若手チェリストのドビュッシーのソナタを聴いてみたいと思った。伸びやかな音。屈託なさそうな音なのだが、美音なので、魅力的に響く。ただ、バッハもチャイコフスキーも同じように聞こえるのが、私としては不満。藤井一興のピアノはとても安定していて、絶妙にチェロを支えている。

アンコールの無伴奏組曲1番のプレリュードは素晴らしかった。横坂のよさが存分に発揮されていると思った。

 

・クリストフ・バリサ(語り)、ロランス・アミー(巫女)、リュシー・シャルタン(ソプラノ)、マリアンヌ・ベアーテ・キーランド(メゾ・ソプラノ)、エンドリク・ウクスヴァラフ(テノール)、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバー、ダニエル・ロイス(指揮) 

オネゲル オラトリオ「ダヴィデ王」

 改訂版が初演時の小規模なオーケストラによって演奏された。もちろん、私は初めてこの曲の実演を聴く。録音も数回しか聴いたことがない。おもしろいとも思わなかった。いや、実を言うと、そもそもオネゲルの曲を数曲しか聴いたことがないし、これまでおもしろいと思ったことがない。

 が、今回聴いて、とてもおもしろかった。歌手や語りの役者がそろっていたためかもしれないが、音楽は美しく、詩的で、ドラマティック。最後の「ハレルヤ」のコーラスは感動的だった。ただ、語りが多いので、CDで聴くと物足りなく思うのも当然だろう。

語りの見事さ、巫女の役者の迫力、ソプラノのシャルタンの清澄な声、合唱の美しさにとりわけ感嘆した。

 

  ・リチェルカール・コンソート、フィリップ・ピエルロ(指揮)

ディエゴ・オルティスやサンティアゴ・デ・ムルシア、マレ、ラモーなどの作品。

 バロック音楽に特に強いわけではない私はもちろん知らない曲ばかり。しかし、この団体が演奏すると、私は強く惹かれる。ピエルロのヴィオラ・ダ・ガンバの技術の凄まじさもさることながら、その温かみ、親密さに心から満足する。狭いホールで仲間たちとゆっくり聴くのにふさわしい。しみじみと人の心、音楽の素晴らしさを感じる。

ナントでこの団体に出会ってからすっかりファンになり、ほとんどすべてのCDを購入し、時々聴いている。今回も心から満足。

 

・テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)、グザヴィエ・フィリップ(チェロ)、フランソワ=フレデリック・ギィ(ピアノ) 

ベートーヴェン ピアノ三重奏曲変ロ長調「大公」

 

 最高の演奏だった。繊細にして緻密。だが、内にこもるのではなく、じわじわと情熱、喜びが外に伝わっていく。三人が心を一つにして音楽を作っているのがよくわかる。音楽を推進しているのはきっとピアノのギィだと思うが、フィリップの繊細さ、パパヴラミの音の強さがそれぞれに一つの世界を築いていく。躍動があり、高貴でしなやか。最終楽章は、躍動し、愉悦が爆発し、苦しみを知った後の人生の喜びが胸に迫ってくる。まさしく圧巻。感動した。

 

・フランス国立ロワール管弦楽団
、パスカル・ロフェ (指揮) 

ラヴェル「古風なメヌエット」、 ストラヴィンスキー バレエ「春の祭典」

「春の祭典」はまさしく名演。このオーケストラ、実に素晴らしい。しなやかで香りがあり、しかも、機動力も爆発力も持っていることを今日、知った。パスカル・ロフェも素晴らしい指揮者だ。この複雑な曲の魅力を最大限に発揮して聴かせてくれる。音楽を手際よく整理しているだけでなく、生き生きとして、しかもわざとらしくなく、爆発力もあり、ワクワク感もある。後半、ずっと圧倒されっぱなしだった。

 

 本日の最後の四つのコンサートは実に素晴らしかった。興奮して家路についた。ラ・フォル・ジュルネはまさしく驚異の祭典だと思う。人々を興奮させてくれる。音楽のよさを教えてくれる。知らなかった曲を味わうことができる。

 

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林田直樹著のラ・フォル・ジュルネ公式本「ルネ・マルタン プロデュースの極意」(アルテス・パブリッシング)を読み始めた。ラ・フォル・ジュルネの精神が語られている。これまで私がラ・フォル・ジュルネのコンサートを聴きながら感じていたことが林田さんの手によって的確にまとめられている。理想論に聞こえる部分もあるが、マルタンはこれをまさしく実行し、成功させている。驚くべきことに、マルタンの考えが正しかったことがすでに証明されている。その音楽観の基本にあると思われる家族について、セックスについてのマルタンの考えもとても興味深い。

 私は多摩大学のゼミでクラシックコンサートの企画運営を指導していた。客に来てもらうのにとても苦労した。この本をもう少し前に読んでいれば、学生の読ませ、私もこれで勉強し、もっと根本的なところからコンサート企画を、それどころか様々な企画を考え直すことができたのではないかと思った。ちょっとこの本を知るのが遅すぎた!

 

 明日から日常に戻る。あと数日、4月末締め切りだった原稿を仕上げるまで猛烈に忙しい。

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