ミヒャエル・ザンデルリンク+ドレスデン・フィルのショスタコーヴィチ第5番に興奮
2017年6月26日、武蔵野市民文化会館でミヒャエル・ザンデルリンク指揮、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴いた。前半に、ウェーバーの「オイリアンテ」序曲と、フランソワ=フレデリック・ギイのピアノが加わってのベートーヴェンの「皇帝」。後半にショスタコーヴィチの交響曲第5番。素晴らしい演奏だった。
古楽的な演奏だが、ザンデルリンクの指揮はとてつもなくスケールが大きい。実を言うと、「皇帝」はギイとかみ合わないような気がした。ギイはどちらかという叙情と知性のピアニストだと思う。もう少しこじんまりとして繊細なオーケストラのほうがぴたりとくる。第二楽章は少し不発であるような気がした。抒情が空回りする感じ。が、第三楽章になると、大きく盛り上がり、華麗になった。素晴らしかった。そして、ピアノのアンコールに「月光」の第一楽章。知的で繊細で抒情的で素晴らしい。「皇帝」でできなかった自分だけの世界をアンコールで作ってみせたかったのではないかと思った。
後半はザンデルリンクの持ち味を存分に発揮できる曲。父親のクルトもショスタコーヴィチが得意だった。きちんと聞き比べたわけではないが、昔聞いたクルトの録音もこんな印象だったと思う。スケールが大きく、巨匠風の音楽づくり。ヴォルコフの本が出て世界のショスタコーヴィチ観が大きく変化したわけだが、ミヒャエル・ザンデルリンク指揮のこの曲には、そのようなことは一切お構いなしに聞こえる。
古めかしく聞こえる音響で壮大な世界を作っていく。とはいえ、ロシア風のけたたましい金管の彷徨や狂ったような木管の叫びではなく、そこはドイツのオーケストラであるだけあって抑制されている。第二楽章の諧謔も、第三楽章の抑圧された苦しみも実に説得力がある。緊張感が途切れない。そして、第四楽章になって大きく盛り上がり、堂々たる革命賛歌になっていく。ヒステリックなまでに革命を狂喜しているかのよう。これはこれで実にすがすがしい。感動した。興奮した。
アンコールはエルガーの「エニグマ」からの曲。興奮を冷ますようなしっとりした曲。
とはいえ、ショスタコーヴィチの興奮を抱いたまま帰った。
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