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 METライブビューイング「ばらの騎士」 第三幕で涙した

銀座の東劇でMETライブビューイング「ばらの騎士」をみた。2016-2017年のシーズンの最後の演目。豪華キャストなので、悪かろうはずがないのだが、それにしても素晴らしい。

ルネ・フレミングの元帥夫人、エリーナ・ガランチャのオクタヴィアン、ギュンター・グロイスベックのオックス男爵は、現在最強の布陣だろう。

ルネ・フレミングが元帥夫人を歌うのはこれが最後だという。私は2001年のメトロポリタン歌劇場の来日公演で彼女の元帥夫人をみて(オクタヴィアンはスーザン・グラハム、ゾフィーはバーバラ・ボニー。指揮はアンドリュー・デーヴィスだった。私の最上の「ばらの騎士」経験の一つだ!)大感激した記憶がある。「ばらの騎士」のテーマを一言で言えば、「あらゆることに終わりがある」。1990年代だったか、シュヴァルツコップの大ファンだった私はCDでフレミングの「四つの最後の歌」を聴いて、シュヴァルツコップのレパートリーをすべて最高レベルで歌える歌手が現れたと思ったのだったが、そのフレミングの元帥夫人も終わりを告げた。感慨深い。最後の三重唱は泣けてきた。

ガランチャは容姿も含めて、もしかしたら歴代最高のオクタヴィアンなのではないかと思った。強い声なのだが、それだけでなく、実にしなやか。グロイスベックの横暴でマッチョな絶倫男というべきオックスも実にいい。2012年のザルツブルクで彼のオックスに初めて接して、その人物像に驚嘆した。今回もその延長線上にある。町のあちこちにこんな人がいそう。実に説得力がある。声もいいし、演技もおもしろい。

もう一人、ゾフィーを歌ったエリン・モーリーも3人にまったく引けを取らない。それどころか、三重唱でももっとも目立っていたかもしれない。美しい高音。容姿もゾフィーにぴったり。

実は最後の三重唱でほんの少しバランスが崩れたように思った。が、すぐに立て直して精妙になった。そのあたりのライブ感も見ごたえがあった。愛の二重唱にも酔った。

ファニナルのマーカス・ブルックもよかったし、何と歌手を歌ったのはマシュー・ポレンザーニ。すごい存在感と素晴らしい美声。

演出はロバート・カーセン。時代は作曲された19世紀末から20世紀初頭に設定されている。オックスは軍服を着ており、軍人がしばしば現れる。第三幕は娼婦の館という設定で、そこにも大勢の軍人が客としている。どうやら元帥夫人はオクタヴィアンの後釜として巡邏隊の隊長を選んだらしいことがほのめかされる。そして、最後に舞台に現れる少年モハメッドは酔っ払っており、幕切れで背後に軍隊が現れる。古き良き時代が終わって血なまぐさい時代に突入することを暗示するのだろう。

指揮はセバスティアン・ヴァイグレ。実はあまり好きな指揮者ではない。第一幕では、ちょっと納得できないところがあった。が、最後まで聞くと完璧に打ち負かされた。

 

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