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東京二期会「ばらの騎士」(7月29日)、素晴らしかった!!

 2017729日、東京文化会館で、東京二期会公演「ばらの騎士」をみた。一昨日(727日)に別キャストで見たばかりなので、二度目ということになる。素晴らしかった。一昨日よりもずっと良かった。

 私はとりわけ元帥夫人の林正子とオクタヴィアンの小林由佳に圧倒された。世界のトップレベルに決して引けを取らないと思う。林さんの声はヴィブラートの少ない澄んだ声。小林さんも音程のよい強い声。二人の掛け合いの部分は心が痺れた。オックス男爵の妻屋秀和とゾフィーの幸田浩子ももちろん素晴らしい。そして、二人とも演技も見事。とりわけ妻屋のオックスは、下品で滑稽なところを実にうまく描いている。ファーニナルの加賀清孝も張りのある見事な声だった。そして、私はアンニーナを歌った石井藍の深い声にとても魅力を感じた。これだけの歌手がそろえば、素晴らしい舞台になるにきまっている。東京二期会は世界最高の劇場に劣らない実力を持っていることを示してくれた。これほどのレベルの上演を一体世界のいくつの劇場ができるだろう。

 一昨日は不満に感じたヴァイグレの指揮と読売日本交響楽団もとてもよかった。ヴァイグレはしばしばオケを煽り、音楽に勢いをつけようとする。一昨日はそれが不自然で不発であるように感じたのだが、今日はオケがしっかり対応して見事な音を作りだしているのを感じた。第三幕は圧巻だった。オケが違って聞こえたのは、もしかしたら席の違いなのかもしれない。実は前回はちょっとお金を節約して3階で見た。今回は1階前方。音がまとまって聞こえた。

 第三幕はとりわけ絶品。三重唱の三人の声が見事に溶け合っていた。オーケストラも声をしっかりと支え、精妙なアンサンブルを聴かせてくれた。

 演出については、私はやはり中途半端だと考える。DVDでみたグラインドボーンの上演では、もっとグラン・ギニョールを意識した演出だったと思う。だからこそ、あのような衣装だった。東京公演では人形らしさ、グラン・ギニョールらしさはない。だから、元帥夫人の衣装があまりに不自然。結局、ふつうの演出になってしまっている。東京の観客を考えて少々手加減したのだと思うが、かえすがえすも残念。

 もう一つ感じたのは、観客のマナーがあまりよくないこと。何か理由があったのだろうか。私の左前の男女は上演中も身体を寄せ合って時折おしゃべりしていたし、前に座っていた高齢の女性はハンドバッグを何度もガサガサさせていた。右前の人はしばしば居眠り。左隣の二人組(きっと母と娘)は上演中に何度かお茶を飲み、右隣の人は大きく舟をこいで居眠り。その右隣の人はしばしば扇子でバタバタ。後ろの人は配布されたパンフレットの入ったビニール袋をいじっているために上演中もカサカサ音を立てていた(この人には幕間に袋を下に置くようにお願いした。問題なく理解していただいた)。「ばらの騎士」がポピュラーな演目になって、ふだんオペラに足を運ばない人も来ているということなのだろうか。それならそれで、めでたいことではあるが。

 ともあれ、演奏については最高だと思った。このところの東京二期会公演のレベルの高さに驚く。これからが楽しみだ。

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