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松尾俊介ギターサロン「バッハから武満まで」 限りなく繊細に武満を演奏

 2017825日、現代ギター社のサロンで松尾俊介ギターリサイタルを聴いた。前半に、バッハの無伴奏チェロ組曲第3番とシャコンヌ(ともに、松尾自身の編曲)、後半に「ロンドンデリーの歌」(武満徹編曲)、武満徹「森のなかで」、アルベニス「アストゥリアス」(松尾編曲)、トゥリーナ「ギターのためのソナタ」。

 多摩大学在職中、ゼミのコンサートで松尾さんには何度も出演していただき、素晴らしい演奏を聴かせていただいた。軽妙なトークと、そのトークの雰囲気とまったく異なる繊細で知的で、しかもとてつもないテクニックによるギター演奏に私は惹かれてきた。

 猛烈に蒸し暑い日だった。夕方になってもまだ30度を超して、むしむししていた。おそらく、そのためにギターが松尾さんの思うように鳴らなかったのだと思う。前半、音を出すのにてこずっている様子が見えた。相変わらずの松尾さんの凄まじいテクニック。実は、私はギターを弾く指をみていることができない。あちこちに行ったり来たりしている指をみていると、頭の中が混乱してくる。だが、それほどのテクニックをもってしても、チェロやヴァイオリンの弦を長く弾くことによって成り立っている曲をギターで弾くのが至難の業であることを感じた。

が、後半、ギターが鳴りだしてからは本当に素晴らしかった。これらは基本的にギターのために作られている。武満の「森のなかで」を初めて聴いたと思うが、武満の世界に触れることができた。実に繊細、一つ一つの音のどれもが心をそっとなでるよう。それを松尾のギターが完璧に再現していく。

最後にスペインの音楽。ご自身がトークで語った通り、松尾さんはギターの本場であるスペインの曲をあまり弾かない。「後にとっておいた」とのことだが、実は、ギターで内面をしっとりと繊細に表現する松尾さんには、どうしても外面的になってしまうスペインのギター曲を遠ざけておきたいという意識があったのだろう。確かに、いつもの松尾さんらしくない演奏。しかし、これも素晴らしかった。外面性と内面性が見事にマッチ。松尾さんが外面的な曲を弾いてもこけおどしにはならない。

アンコールの最後は「愛の賛歌」。しみじみと終った。さすが。

ウランバートル旅行は私には負担が大きかったようで、まだ疲労感が残っている。帰りに最寄りの駅付近でマッサージを受けて(とはいえ、帰国後2度目のマッサージ)、やっと元気を回復した。

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