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ファビオ・ルイージ+読響 知的躍動の「英雄の生涯」に感動

 2017824日、東京芸術劇場で読響サマーフェスティバル2017「ルイージ特別演奏会」を聴いた。ファビオ・ルイージの指揮。素晴らしい演奏。まれに見る名演奏だと思った。

 前半はシュトラウスの「ドン・ファン」とハイドンの交響曲第82番「熊」、後半に「英雄の生涯」。要するに、描写性を持つ音楽を集めたプログラム。以前、ドレスデン・シュターツ・カペレの来日公演でファビオ・ルイージの「英雄の生涯」を聴いて感動した覚えがある。再び感動したいと思って足を運んだ。

「ドン・ファン」の最初の音からしなやかで研ぎ澄まされていて、しかも躍動的。それが知的に構築されていく。とてもわかりやすい指揮だと思う。どのような音を出したいのか、どのように音を重ねたいのか観客にも良くわかる。オケもそれにぴったりとついていく。読響はもちろんとても良いオケだが、それにしてもルイージの手にかかると、これほど研ぎ澄まされるとは! ドレスデン・シュターツ・カペレほどではないかもしれないが、とても透明で色彩的。あまりロマンティックではない。むしろ、論理的に音を重ねて、きわめて知的に音のドラマを作っていく。聴いているものとしては知的に興奮する。

 ハイドンの「熊」も、曲芸を描写するような第4楽章を山場に持ってきて、とてもおもしろかった。第3楽章までは少し抑え気味にしておいて、古典音楽らしく、しなやかに、おとなしく、しかも気品にあふれた演奏。そして、第4楽章でおもしろさを全開にする。聴くものとしては、最後に種明かしをされたような気分になる。ハイドンのユーモアも聞こえてくる。

 そして、やはり「英雄の生涯」がすごかった。まさしく音の絵巻が展開される。しかし、それほど豊穣な感じはしない。むしろ、引き締まっていて、無駄なものがない。無駄なものはないが、音がしなやかで色彩的で表情があるので、音楽に躍動感があって推進力がある。

 昔、よく「シュトラウスは砂糖づけのように甘ったるい」という言葉を聞いた。それを聞くごとに私には不思議だった。高校生のころにクレメンス・クラウス指揮のレコードでシュトラウスの交響詩をずっと聴いていた私にとって、シュトラウスの音楽は知的でしなやかで引き締まったものだ。ルイージの作りだす音楽も、甘ったるさはまったくなく、知的でしなやかで引き締まっている。これぞシュトラウスだと思った。無意味に感情移入するのでなく、音を完璧にコントロールし、音の織物を作り上げていく。

 ソロ・ヴァイオリンの長原幸太も素晴らしかった。これもあまりロマンティックではなく、むしろもっと現代的で知的なアプローチ。心にぐいぐいと食い込んでくるような音だった。

 ソロ・ヴァイオリンとホルンの2台の楽器で静かに終わる。舩木篤也さんの解説によると、これは初稿に基づくという。ホルンも素晴らしかった。

 大いに感動し、興奮した。

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コメント

あの程度の演奏に感動したってアホか?
ずいぶん低レベルな耳なんだねぇ〜

投稿: つ | 2017年8月25日 (金) 00時50分

つ 様
コメント、ありがとうございます。
人を罵倒して、自分が偉くなったような気持ちになろうとするのではなく、きちんとあの演奏のどのあたりが良くなかったとお考えなのか、低レベルの耳の私にもわかるように説明していただけませんでしょうか。もちろん、私を非難なされるのでしたら、まずご自分の身分と実名を明かしたうえで、お願いします。それが社会的な常識を持っている人が他者を批判するときの最低限のマナーだと思いますので。

投稿: 樋口裕一 | 2017年8月25日 (金) 08時51分

私も感動したと書こうとしたら、「Mr.つ」なる方の不快な書き込みがありました。実にいやですね。

私は今日横浜で聞いてきました。本当に感動しました。特に英雄の生涯はこれまで聞いた同曲のなかで、最高の感激を味わいました。
最後の終わりかたは絶対にこちらの方がいいです。音が消えたあとの静寂は息も吸えないほどでした。また読響の熱演にも拍手です。艶やかな音とフォルテッシモの迫力も感心しました。
そして樋口先生もおっしゃっているように、前半の2曲もすばらしく、特にハイドンを挟んだのはすばらしい着想と思いました。ルイージさんはなかなかにプログラムの立て方がお上手のようですね。

投稿: ル・コンシェ | 2017年8月25日 (金) 23時02分

ル・コンシェ 様
コメント、ありがとうございます。
「英雄の生涯」は、静かに終わるヴァージョンのほうが私も好みです。静寂に吸い込まれていくのが「英雄の生涯」なのでしょう。東京劇術劇場でも、とてもマナーがよく、しばらく拍手が起こりませんでした。それにしてもルイージは巨匠ですね。
「つ」氏につきましては、今はどうかわかりませんが、そのうち、自分のしていることの恥ずかしさに気付くと思いますので、どうか気になさらないでください。

投稿: 樋口裕一 | 2017年8月26日 (土) 10時37分

私も同じ日に聴きました。ルイージも読響も気合いの入り方が凄かったですね。とてもよかったと思います。今日は拙いブログでも書こうかと思っていたのですが、パソコンがインターネットに繋がらなくなりました。もうお手上げです(今これはスマホから書いています)。

投稿: Eno | 2017年8月26日 (土) 19時10分

Eno 様
コメント、ありがとうございます。
インターネットへの接続はできましたでしょうか。私もしばしば接続できなくなって困っています。ブログを楽しみにしております。

投稿: 樋口裕一 | 2017年8月27日 (日) 08時40分

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