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オペラ映像「ローエングリン」「ダナエの愛」「パルジファル」

 パソコンに向かって原稿を書き、疲れたら映画やオペラのDVDBDをみる。このところ、そのような生活をしている。これが私には一番合っている。最近購入したオペラ映像についての感想を書く。

 

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「ローエングリン」2016年 ドレスデン、ザクセン州立歌劇

 

 ティーレマン指揮、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏。最高の演奏。近年のティーレマンの充実ぶりはすさまじい。

 エルザを歌うのはネトレプコ。私としては待ちに待ったネトレプコのエルザだ。ただ、だんだんと調子が上がってくるものの、前半は気負いすぎてちょっと不安定な感じ。とはいえ、第三幕は絶唱。ゼンタやエリーザベトやエファ、そしてできればイゾルデやジークリンデを歌ってくれないだろうか。ローエングリンを歌うピョートル・ベチャワはネトレプコ以上に役にはまっている。私はこの人の歌は実演では「ラ・ボエーム」のロドルフォを二度(一度はフリットリのミミを相手にしたメトロポリタン歌劇場の来日公演、もう一度はネトレプコがミミを歌ったザルツブルク音楽祭)聞いているし、映像では何度も聴いている。素晴らしい歌手だと思っていたが、ローエングリンまでもこれほど見事に歌うとは! 張りのある強い声。ヘルデン・テノールといえるほどの強靭さ。カウフマンやフォークトに決して劣らないと思う。

 テルラムントのトマス・コニエチュニーも素晴らしい。この役は影が薄くなりがちだが、コニエチュニーが歌うと人間味が増し、強い陰影を帯びる。そして、特筆するべきはオルトルートのエヴェリン・エヴェリン・ヘルリツィウス(もしかしてイヴリン・ハルリチアス  ハーリッチアスという発音なのか?)。何度か実演を聴いて素晴らしい歌手だとは十分に認識していたが、改めてすごさを実感した。魔女オルトルートの凄みがビンビンと伝わる。ハインリヒのゲオルク・ツェッペンフェルトも威厳のある堂々たる声と演技、素晴らしいと思う。

 そして、それにもまして圧倒的なのがオーケストラと指揮のティーレマン。言葉をなくす凄さ。濃密でダイナミックで表情豊かで力感にあふれている。とてつもない名演。ただ、演出については、とてもまとまりがよいとはいえ、特に新しい解釈は示されない。

 

 

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シュトラウス 「ダナエの愛」2016年 ザルツブルク祝祭大劇場

 

 NHKBSで放送されたもの。演奏は見事というしかない。私はこのオペラは最初から最後までずっと同じ調子で豊穣な音楽が鳴り続けている点で苦手意識を持つのだが、さすがフランツ・ヴェルザー=メストの指揮というべきで、そのような弱点を感じさせない。精緻で知的でしかも豊穣。いや、豊穣すぎないところがいい。

 歌手はそろっている。クラッシミラ・ストヤノヴァのダナエは、声も伸びているし、声の演技も見事。そして、何よりもトマシュ・コニエチュニーのユピテルが素晴らしい。威厳のある強い声で意地悪なユピテルを見事に演じている。ゲルハルト・ジーゲルのミダスも、冴えない純朴なオタクという感じで、容姿的には恵まれないが、それはそれでとてもいい。

 演出に関しては、めったに上演されないオペラをわかりやすく、おしゃれに、そして華麗に見せてくれている。「サロメ」「エレクトラ」「ばらの騎士」「ナクソス島のアリアドネ」「影のない女」と比べるとやや劣るのは間違いないと思うが、シュトラウスのオペラとしてとてもおもしろい。一度だけ東京二期会の公演を見たことがあるが、もっと上演してほしいオペラだ。

 

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ワーグナー 「パルジファル」2012年 アムステルダム音楽劇場

 

 細身で鋭利な「パルジファル」。かつてクナッパーツブッシュ指揮のレコードでこの楽劇を繰り返し聴いた人間からすると、改めてワーグナー演奏の時代的な変化を感じる。イヴァン・フィッシャーの指揮によるコンセルトヘボウ管弦楽団はクナッパーツブッシュのようにどっしりとして重心の低い演奏をしない。繊細で幻想的。それはそれでとても素晴らしい。

 歌手たちは超一流。パルジファルを歌うクリストファー・ヴェントリス、クンドリのペトラ・ラングともに熱演。二人ともちょっと不安定なところを感じないでもないが、声は伸びているし、現在、これ以上の声を聞かせる人はそれほど多くないだろう。とりわけ、ラングの第二幕の不気味さはとても説得力がある。グルネマンツはファルク・シュトルックマン。久しぶりに見る顔だが、声の輝きは失っているものの老人らしい渋みがあってとてもいい。  ミハイル・ペトレンコの中性的で異様なクリングゾル(私の知る限り、ペトレンコはかなり荒々しくて男性的なので、これは演出によるものだろう)、むしろキリストを思わせるアレハンドロ・マルコ=ブールメスターのアンフォルタスは、ちょっと声楽的には弱さを感じたが、不満に思うほどではなかった。

 ピエール・オーディの演出は、赤や青のライト、いびつに映る鏡、異教的な衣装を使って幻想性を高めている。ティトゥレルやアンフォルタスらのキリスト教社会も、またそれに対立するクリングゾルの側の社会もともに狂信的で偏狭でいびつだ。それをパルジファルが救済する。そのようなメッセージに見える。

とてもおもろしろかった。ただ、私としては名演として感動するには至らなかった。

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