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P.ヤルヴィ+N響の「レニングラード」 凄まじい演奏に興奮

 2017916日、NHKホールでNHK交響楽団定期公演、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団の演奏でショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」を聴いた。凄まじい演奏だった。まだ興奮している。

 きびきびして、しかもすべての音が生きている。音の一つ一つに推進力があり、しかもきわめて緻密。とりわけ弦楽器の威力に圧倒された。N響も見事。ほぼ完璧にバランスがとれていた。

 とりわけ、私は第三楽章冒頭の弦楽器の痛ましい音に心を打たれた。そうか、ショスタコーヴィチはこのような音を出したかったのか!と納得できた。

私はショスタコーヴィチの室内楽は大好きなのだが、交響曲は特に好んで聴くわけではない。「レニングラード」も好きな交響曲ではない。納得できないところがたくさんあった。あの有名な「戦争のテーマ」が何ともちゃちで、どう考えていいのかわからなかった。が、ヤルヴィで聴くと、初めは大したことではないと思われていた愚劣で理不尽で不条理な戦争なるものがだんだんと力を増してついには人間に対して暴虐をふるっていく様子を描いているのだと納得できた。これがショスタコーヴィチのとらえた「戦争」なのだろう。まさしく戦争の理不尽。その恐ろしさも伝わる。

 ヤルヴィはまさしく戦争と人間のドラマを真正面から描いているようだ。まったく緊張感が途切れない。最初から見事だったが、第二楽章、第三楽章、第四楽章とますますドラマが盛り上がっていった。最後、絵にかいたような勝利のファンファーレになる。あまりに決まりきった展開にこれまで鼻白むことが多かったが、今日のように衒いもなく真正面から演奏されると、心の底から感動してしまう。最後は魂が震えた。

 先日の「ドン・ジョヴァンニ」にも満足した。今回はそれ以上の満足だった。

 

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コメント

北海道南端に住む者です。いつも興味深く拝読しております。一昨日もJアラートなる「空襲警報」が不快極まる不気味な音で鳴り響きました。今後、道内各地で「避難訓練」が実地されるとのことです。全く狂気の沙汰です。「初めは大したことではないと思われていた愚劣で理不尽で不条理な戦争・・・」ですか。この国では第7番が始まっているようです。

投稿: 北斗のてる | 2017年9月17日 (日) 11時05分

北斗のてる 様
コメント、ありがとうございます。
Jアラートですか! 私は直接的な被害には合っていませんが、ご同情申し上げます。様々な意味で、実に恐ろしいことです。そうですね。第7番の第1楽章の戦争のテーマは、まさしく狂気の沙汰が広がっていく様を描いているのでしょう。

投稿: 樋口裕一 | 2017年9月18日 (月) 01時13分

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