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ルナノバ公演「絹のはしご」と「ジャンニ・スキッキ」を楽しんだ

 2017923日、川口リリア音楽ホールでルナノバ公演「絹のはしご」と「ジャンニ。スキッキ」をみた。ピアノ伴奏ヴァージョン。音楽監督は服部容子、ピアノ伴奏は相田久美子、演出は今井伸昭。

 一昨年、「アルジェのイタリア女」を見て以来の、ルナノバという団体の公演。今回は前回よりもずっとレベルが高く、とても良い上演だった。

「絹のはしご」については、私はブランザックを歌った北川辰彦に特に惹かれた。しっかりした声で、音程も素晴らしい。嫌味な伊達男らしさをうまく表現していた。ジュリアの針生美智子も難しい歌をきれいに歌って見事。ジェルマーノの清水良一もとても楽しい歌。ドルヴィルの大川信之、ルチッラの福間章子、ドルモンの塚田裕之もいずれも音程がとてもよく、声も出ていた。

 ただ、全員がずっとフォルテで歌おうとするのが気になった。最初から最後まで声を張り上げていると、聴くほうも疲れるし、一本調子になる。ピアノがあってフォルテがあってこそ、音楽が生きる。また、ロッシーニらしい早口の威勢の良い音楽が十分に聞こえてこなかった。歌手たちの力量を考えて、指揮者が遅めのテンポにしたのかもしれないが、そのためにも全体のメリハリが弱まっているように思えた。

 演出はシンプルながら、とてもわかりやすくて、楽しかった。全体的にはとてもよい上演だった。「絹のはしご」はDVDなどで何本か見たが、実演は初めて。ロッシーニの面白さを味わうことができた。

 

 もう一本は「ジャンニ・スキッキ」。

 これも見事な上演だった。ジャンニの大沼徹がとりわけ素晴らしかった。伸びのある美声で、余裕たっぷりに聞こえる。演技も堂にいっている。そのほか、ラウレッタの二見麻衣子、リヌッチョの布施雅也、ツィータの牧野真由美、シモーネのジョン ハオほか、すべての歌手がとても良かった。全員の重唱でも、しっかりと音があっていた。

 そして、演出がとてもおもしろかった。私はプッチーニのオペラはあまり見ないので、このオペラについて一般にどんな演出がなされているのかよく知らないが、今回はとてもこなれた動きで、とてもコミカルで、しかもときに表現主義的。歌手陣の演技も素晴らしい。プッチーニに親しんでいない私も、十分に楽しんだ。

 私はルナノバという団体の活動についてはほとんど知らない。2年前に聞いた時、志は素晴らしいと思いながら、力量不足ではないかと思ったが、今回聴いて、まったくそんなことは感じなかった。全員がとても音楽的にも演劇的にも見事だった。これから先、このレベルの上演を続けてくれたら、こんなうれしいことはない。

 

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