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サントリーホール Reオープニング・コンサート 「小ミサ・ソレムニス」のほうが好みだと思った

 サントリーホールのリニューアル記念のReオープニング・コンサートを聴いた。第1部はオルガンと金管アンサンブルの演奏で、バッハ、ヴィドール、デュリュフレ、ヨハン・シュトラウスの作品。要するに、オープニング・セレモニー。演奏はとても良かった。ただ、どういう事情でこれらの曲が選択されたのか、これらの曲の間にどのような連関があるのか、私にはよくわからなかった。

2部はロッシーニの「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)」。よく知られた小編成の「小ミサ・ソレムニス」のロッシーニ自身による管弦楽編曲版。指揮はジュゼッペ・サッバティーニ、オルガンはダヴィデ・マリアーノ、そのほか、吉田珠代(ソプラノ)、ソニア・プリーナ(コントラルト)、ジョン・健・ヌッツォ(テノール)、ルベン・アモレッティ(バス)、合唱は東京混声合唱団、サントリーホール オペラ・アカデミー、管弦楽は東京交響楽団。

 演奏は素晴らしかった。サッバティーニの指揮は、ドラマティックで抑揚があり歌がある。最後まで飽きさせなかった。合唱も素晴らしかった。張りのあるフォルテもいいが、静かな声も見事。歌手陣もそろっていた。吉田珠代(静岡県民オペラでイリスを歌った歌手)もほかの外国人勢にまったく引けを取らず、音程のよい美声を聞かせてくれた。

 とはいえ、実は大編成のこの曲を初めて聴いたので、かなり違和感があった。私の知っているこの曲はピアノとハルモニウムの伴奏で、大合唱も付かない。こじんまりとしてしっとりとして室内楽的でちょっぴり宗教的。引退したロッシーニが、晩年、ちょっとしたいたずら心で宗教的な曲を作りたくなり、気楽に演奏できる身近な、いかめしくない宗教曲を作った…。宗教心を表には出したくなく、敬虔さを売り物にしたくない。大袈裟ではない宗教心をさりげなく歌いたい。私はそのようなロッシーニの心の表れとしてこの曲をとらえていた。

 だが、今日の演奏は大規模で壮大でドラマティック。それはそれで、オペラティックで悪くないが、この曲のこじんまりとした、そしてほんのちょっぴり宗教的なところが好きだった私としては、これほどドラマティックに演奏されると、どう考えてよいかわからなくなる。ロッシーニ自身の編曲だというが、これだとこの曲のよさが消えてしまうような気がしてしまう。

 ロッシーニの人生、芸術観についてきちんと研究しているわけではないので、あまり大層なことは言えない。とてもおもしろかったと思いつつ、私の好きな演奏ではなかったと確認した。

 サントリーホールのリニューアルについては何とも言えない。私の席(LB席)からは、オルガンの指や足が見えるのはうれしかった(初めてオルガン演奏が丸々見える位置で聴いた。指だけでなく、足であちこちを踏んで音を出しているのを見てびっくり!)が、やはり歌手の声は聞こえづらかった。当たり前だが、リニューアルによってすべての席で満足できる音響になったわけではなさそうだ。

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