リフシッツのベートーヴェン 壮大さと禁欲的リリシズム
2017年10月8日、武蔵野市民文化会館でコンスタンチン・リフシッツのピアノ・リサイタルを聴いた。曲目は前半にベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」、後半にピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」。長大な難曲2曲をリフシッツは見事に演奏。素晴らしい。
すべての音がクリア。強い音はクリアな中に強烈さがある。弱い音はしなやかでリリシズムにあふれている。それをきわめて知的に構築していく。私にわかる限りでは、ミスはまったくないように思えた。完璧な技術、見事な音楽性。
ただ実は、私はピアノ曲はあまり聞かない。今回のコンサートは、知人に勧められて聴いてみた。そんなわけで、「ディアベリ変奏曲」の実演を聴くのはこれが初めてだった。これまでLPやCDで何度か聴いたことがあったが、何度聴いても、ディアベリのテーマをベートーヴェンがどう変奏しているのかつかめない。どこがどう変奏されているのかわからない。実演をじっくり聴けば納得できるだろうと思っていたが、やはりわからなかった。私の音楽的素養不足を痛感。
とはいえ、ある種の制限の中で独自の宇宙を展開しているのを聴くつもりになると、圧倒的で感動的な部分はたくさんある。何番目の変奏かは確かめていないが、何度かその禁欲的なリリシズムや壮大な音の躍動に酔った。
「ハンマークラヴィ―ア」も素晴らしい演奏。第一楽章の壮大さもさることながら、終楽章のフーガに圧倒された。これはとてつもない曲だと改めて思った。ただ、これも私の音楽的素養不足としか言いようがないが、有名な第3楽章について、演奏云々の前に、私は十分にベートーヴェンの音楽そのものを理解できない。もちろん、しばしば素晴らしいと思うが、ピアノの音だけで演奏されると、頭がついていかない。ピアノの独奏曲をめったに聴かないので、弦楽器か管楽器がほしくなってしまう。
アンコールはベートーヴェンのバガテルの中の1曲とのこと。
ベートーヴェンのすごさ、リフシッツのすごさを大いに感じながら、ピアノ曲を聴きなれない自分の音楽的素養の不足を痛感するリサイタルだった。
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